Guest Research Project vol.2―ジェネレーティブ・メディアのためのコンポジション・ツール

昨年度に引き続いて2回目の実施となる今回は、ニューヨークを拠点にエンジニアそしてアーティストとして広範な領域で活動するジェームス・ジョー ジを招聘し、2012 年7月から3ヶ月間に渡って共同研究開発をおこないました。ジェームス・ジョージは、被写体の奥行き情報も記録する映像記録形式「RGB+Depth」の開発者として知られており、彼はこの記録形式を駆使して、さまざまな映像作家やアーティストとのコラボレーションを実現しています。一般的に独自の記録形式を開発して創作をおこなう場合、読み書きをおこなう専用のソフトウェアが必要になるため、彼はその過程で 「RGB+Depth」を含んだ多様な形式の情報を時間軸上に構成するopenFrameworks用のアドオン「ofxTimeline」の開発も同時に進めてきました。本プロジェクトではofxTimelineのコンセプトや方向性を共有したうえで、2つのソフトウェアを開発しました。 1つはofxTimelineをアップデートし、さらに拡張性と操作性を高めた新しいofxTimeline。そしてもう1つは、ofxTimeline を基盤とする、openFrameworks無しで単体で動作可能なソフトウェア「Duration」です。

ofxTimelineについて

ofxTimelineはopenFrameworksでタイムラインエディタインターフェースを使用する事が出来るシンプルなアドオンです。このフレームワークを使用する事で、openFrameworksで作られたアプリケーションの中で時間軸に沿ったシーケンスを編集し、そのシーケンスを使って変数のコントロールを行う事が可能になります。

ofxTimelineのソースコードのダウンロードはgithubのYCAM InterLabのページからおこなってください。

Durationについて

DurationはOpenSoundControlプロトコルを利用してデータの入出力を行う、柔軟なタイムラインエディタアプリケーションです。シンプルな1画面のインターフェースを備えたクロスプラットフォームのスタンドアローンアプリケーションで、複数のトラックを使ってタイムライン編集をする事ができます。専用のWebサイトからスタンドアローンアプリケーションのダウンロードをすることが出来ます。

DurationアプリケーションのダウンロードはDurationの公式サイトから、
DurationのソースコードのダウンロードはgithubのYCAM InterLabのページからおこなってください

TrackStand

TrackStandはインスタレーション形式で制作されたofxTimelineのデモンストレーションです。サウンドや、スクリーン上のパーティクルは、全て床上に表示されたタイムラインによって制御されています。参加者がタイムライン上を移動する事でタイムラインのトラックのON/OFFが制御されます。

WAS-NOW-WILLワークショップ

“WAS-NOW-WILL”は、ジェームスジョージを講師として、山口情報芸術センターのTECPOTブースで行われたDurationのワークショップです。

ライセンスについて

いずれも「Apache License 2.0(アパッチ・ライセンス)」を適用し、オープンソースプロジェクトとして公開します。Apache License 2.0は、著名なソフトウェア・ライセンスである「MIT License」と比較した場合、特許リスク(コントリビューターや他のユーザによる特許権行使)を回避する条項を含むことが特徴です。MITライセンスによって公開されたプログラムと同じように複製・改変・公開等の利用が可能であり、GPLのようなソースコードの公開義務はありません。

客員研究員

ジェームス・ジョージ|James George

プログラムコードを用いて新しいイメージや経験を生み出すメディアアーティスト/エンジニア。ニューヨークとロンドンを活動拠点として建築的なインスタレーションから、公共空間へのプロジェクション、モバイル機器用のアプリケーション開発など、その活動は多岐に渡る。クリエイティブなソフトウェアコミュニティでも活躍し、オープソースソフトウェアの開発にも貢献している。作品はConfluxフェスティバル(2009/アメリカ)、Beall Center for Art and Technology(2010/アメリカ)、Enter5(2011/チェコ共和国)、Interaction IOI(2011/スペイン)など、様々な地域で展示されている。また、2011年にはグリニッジの国立海洋博物館で、セントラルフロリダ大学のInstitute for Simulation and Trainingと他のアーティストとの共同で常設展示を制作したほか、クリエイターズプロジェクトの委嘱作品を制作し、2011年秋にプレミア展示をおこなった。
http://www.jamesgeorge.org/

主催:公益財団法人山口市文化振興財団
後援:山口市、山口市教育委員会
平成24年度 文化庁地域発・文化芸術創造発信イニシアチブ
共同開発:YCAM InterLab
企画制作:山口情報芸術センター[YCAM]


Creative Commons License

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