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アートからの環境観測

カールステン・ニコライとマルコ・ペリハンによって特別なプロジェクトと位置づけられる“polar”。このタイトルは本来、対極性・極地を示しますが、“polarm”では、現実空間と情報空間とを関連づける、地球の電磁場や放射線、磁極の意味を含めています。また、地球環境と情報環境をアートの視点から10年ごとの長周期で観測し、未知なる極地としての環境を探査する意図が込められています。本プロジェクトでは、先端的なメディアテクノロジーを駆使し、私たちが生きている環境の中に潜む巨視的かつ微視的な不可視の関係性を、映像や音響として精緻に表現し、絶え間なく変化を重ねる環境の現在性に対しての新たな意識や眼差しを提示します。

2000年 “polar” から、2010年 “polarm” へ

2000年のインスタレーション“polar [ポーラー] ”から10年を経た今回の“polarm”では、情報技術の圧倒的な進展・浸透によって変動する環境世界において、なおも明らかにならない人間の存在のメカニズムとは何なのか、という問いがたてられています。私たちは、想像を超える技術革新や探査によって何に近づこうとしているのか。本展では、身体性に鋭く反映する環境探査の方法として「放射線 (radiation) 」の存在に注目します。環境創造のプロセスを地球における放射線、電磁的な生態系から描き出す、かつてないインスタレーションが構成されます。

放射線データによる環境世界

作品空間には、2つのキューブ状の構造体が左右対称に置かれ、さらに観測装置となるオブジェ [ガイガーカウンター (放射線計測装置) 、砕石用ロボットアーム (放射線発生装置) 、高周波電波受信機 (電磁波計測装置) 、クラウドチェンバー (放射線可視化装置) ] が設置されています。ここでは、体験者を含むあらゆる存在と放射線との関係がセンシングされ、それによって微細なグラフィクスの映像や、多様な周波数の音が生成し、空間全体を変容させていきます。来場者は、それぞれにとっての空間体験とともに、なぜキューブ状の構造体は相互対称として2つあるのか、という本作における問いを自らに投げかけることになります。

展覧会概要

カールステン・ニコライ + マルコ・ペリハン
新作インスタレーション “polarm [ポーラーエム]” (YCAM委嘱作品)
2010年11月13日 (土) –2011年2月6日 (日) | 10:00–19:00
山口情報芸術センター [YCAM] スタジオA
入場無料
休館日:火曜日 (祝日の場合は翌日) 、12月28日–1月4日
キュレーター:四方幸子 (ゲストキュレーター) 、阿部一直 (YCAM)

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