渋谷慶一郎 Keiichiro Shibuya

音楽家。1973年東京生まれ。東京芸術大学作曲科卒業。
02年ATAK設立。音楽レーベルとして国内外の先鋭的な電子音響作品をCDリリースするだけではなく、デザイン、ネットワークテクノロジーなど多様なクリエーターを擁し、活動のプラットフォームとして精力的な活動を展開。同年森美術館開館記念CDへ参加。03年作曲家、ピアニストの高橋悠治とのコラボレーションによるCD作品「ATAK002 keiichiro shibuya+yuji takahashi」をリリース。04年初のソロアルバム「ATAK000 keiichiro shibuya」をリリース。音色とリズムにフォーカスした徹底的に緻密な構成は「電子音楽の歴史のすべてを統べる完璧な作品」と評され評価を決定的なものとした。現在、複雑系研究者池上高志と共同作業を継続的に展開しており、05年末NTTインターコミュニケーションセンター(東京)において共同制作によるサウンドインスタレーション作品発表と、非線形物理学の応用による変化と運動の音楽理論「第三項音楽」の研究発表/コンサートを行い、大きな注目を集めた。

 

 

池上高志 Takashi Ikegami

1989年東京大学大学院理学系研究科物理学修了。理学博士。現在東京大学助教授。「コンピュータシミュレーションをもとにした生命システムの理解=複雑系」を研究テーマとし、ダイナミクスからみた生命理論の構築を目指す。博士号取得後、カオスの生態系における意義についての新理論を金子邦彦氏と共に提唱。人工生命の研究も開始。90〜98年自己複製や計算理論、ゲーム理論の研究、98年以降に運動論的な知覚、認知のモデル、進化の研究を展開。その成果は『複雑系の進化的シナリオ』(朝倉書店)として刊行。また生命進化における情報の扱われ方を計算論的視点から問題化し、DNAとそれを読む酵素の共進化の視点から「チューリングマシンが互いに互いのテープを読みあって相互に新しいマシンを生成するネットワーク」の理論的モデルを橋本敬氏と構築、その進化可能性のモデル化にも成功した。人工生命の国際会議に主に参加。国際ジャーナル(BioSystems, ArtificialLife, Interaction Studies)の編集も勤めている。