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Palast der Republik(共和国会館)と
フィッシャー&エル・サニによるインスタレーション
♦Palast der Republikをめぐって ウンター・デン・リンデンにある共和国会館は、18世紀のプロシャ帝国宮殿の廃墟上に1976年に建てられた。その建物は東ドイツ(DDRドイツ民主共和国)議会が開かれたところであり、市民の集会場所としても人気があったが、過去の東ドイツ−ベルリンの遺産としておそらく最も目立つ建造物である。1990年以降使われていないが、アスベストを除去したために内部は完全に破壊されている。しかし有名だったファサードはほとんど元のままである。ここ10年間今後の利用についての論争が続いたが、この建物の将来はまだ決まっていない。東ドイツの一種の記念碑(少なくとも象徴するもの)として残しておきたいと願う人たちと、過去の王宮をそこに再建するべきだと主張する人たちの論争は、いまだ続いている。
♦インスタレーション フィッシャー&エル・サニは、このドキュメンタリーを皮肉と真摯さを交えて紹介している。なぜなら私たちが、東ドイツの市民の記憶に残っているこの建物に触れるには、この映像しか方法ないからである。さらに、ガラスのファサードに取り付けられたドローイングもまた、建物の中で、最も人民主義者だった人たちの空間といえる場所、ミルクバーの装飾を、生き生きと再現する。他よりずっと洒脱で魅惑的なこのミルクバーのドローイングは、内部の設計図や公文書の写真に基づいて製作されている。 インスタレーションの中にある4つの写真、すなわち共和国の宮殿:北、南、東、西は、宮殿のブロンズ色に輝くベルギー製のガラスのファサードを、東西南北4方向から、非常に細部に留意しながら撮影している。現在の状態の証拠を提供するかのように、見えるものをそのまま記録しているのである。写真の端にあちこち見える足場や建築用の運搬車は、建物が改装中であることを示している。
♦映像化されたPalast der Republik 一方の映像は、宮殿のファサードから見える外に向けられ、プラスチックで覆われているが透明なファサードを通して、シュプレー運河、プロシャ帝国の建造物、新しく再建されたベルリンの中心部が見える。歪んで曇ったガラスを通して見た2001年のベルリンを、過去のほうから現在へと投射した映像である。カメラは、重なり合った梁や広々した廊下を詳細に写しながら、陽光で色褪せた床の方へ移動するにつれて頂点に達していく。これはアスベストのない「白い場所」と言われるところの不気味な映像で、議会が開かれていた広間は骨組みだけの梁やコンクリートの基礎だけになっているが、その空虚な空間が持つ意味は強烈で記憶から消し去ることはできない。 文字通り空虚の、もはや存在しない国家の機能を所蔵していたという点で、これを妄想の映像として見ないではいられない。この建物は根本的な変化という真空状態の中で、宙吊りのままである。フィッシャー&エル・サニが表現した、過去/現在/未来の融合が喚起した時間と空間の複合的な流動性は、ドイツの統一や共有の歴史を明確にするという、まだ展開途上にあるプロセスに対する最も重要な論争と連動している。2001年のベルリンを、過去のほうから現在へと投射した映像である。カメラは、重なり合った梁や広々した廊下を詳細に写しながら、陽光で色褪せた床の方へ移動するにつれて頂点に達していく。これはアスベストのない「白い場所」と言われるところの不気味な映像で、議会が開かれていた広間は骨組みだけの梁やコンクリートの基礎だけになっているが、その空虚な空間が持つ意味は強烈で記憶から消し去ることはできない。 文/ジル・ヴィンダー(アートキュレータ) * 今回はダブルプロジェクションの作品のみの展示となっています。この解説文には、今回展示していない作品も含まれています。 |