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メディアアートの輪廻転生 Reincarnation of Media Art 2018.7.21sat-10.28.sun
メディアアートの輪廻転生 Reincarnation of Media Art 2018.7.21sat-10.28.sun

「作品の死」から考える、文化継承の新たなかたち

山口情報芸術センター[YCAM]が開館して15年。これまで数々の国内外のアーティストとともに、メディアテクノロジーを駆使した作品を制作・発表してきました。

メディアアートはコンピュータや映像・音響機材などを使用していることが多く、故障や技術環境の変化によって動かせなくなるなど、作品を未来に残す上で多くの困難を抱えています。現在、世界中の美術館や研究機関でさまざまな保存修復の取り組みがなされていますが、今回、つくり手であるアーティストたちの声に焦点を当てます。これまでYCAMの事業に関わったことのある100名を超えるアーティストに実施したアンケートを元に、従来の作品保存とは異なる視点で、作品の「死」について考え、さらに「転生」させて未来に伝える可能性を模索します。

本展では、アートユニット「エキソニモ」を共同キュレーターとして迎え、巨大な「メディアアートの墓」をつくり、その中に複数のアーティストたちが「死」を迎えた作品を展示します。展覧会を通して、作品の寿命や未来について思いを馳せ、芸術表現をはじめとする「文化」を創造的に継承する新たなかたちを考える機会を創出します。

NYのギャラリーでメディアアート作品を展示した時、ギャラリーのディレクターからこんなことを聞かれた。「もし作品が売れた後、壊れたらどうする?」「壊れたら直しますよ」即答すると彼は笑ってこう返してきた「いや、君たちがいなくなった後の話だよ」
“Art is long, Life is short.” という言葉がある。アートを人生より長いスパンで考えるという事を、自分たちは真剣にしてこなかったことに気が付かされた。

未来を照らし出すと捉えられている” メディアアート” の寿命は実は短い。機材を作品に含んでいるだけに壊れたら動かなくなってしまう。OSがアップデートしただけで動かなくなる作品も多い。その維持の難しさは、近年世界中の美術館でホットなトピックになっている。そんな儚いメディアアートからなら「アートの魂のありか」について、新しい切り口で考えてみることができるのではないだろうか。今年15周年を迎えるYCAMのスタッフ達との議論の中から今回のテーマが浮かび上がってきた。

「メディアアートの輪廻転生」とは?過去にYCAMと関わってきたアーティストへと投げかけた問いへの返答から、それぞれが持つアートの死生観を紐解きます。それは、アートだけの問題ではなくて、私達が生きていく中で大切にするべき “価値” とはなんだろう、それは “どこ” にあるんだろう、という普遍的な問いへとつながってくるかもしれません。常に新しく前に進む事が求められるメディアアートが、いや、現代の私たちが、ふと足を止め少し考えを深めてみる機会になれば、と思っています。

エキソニモ

エキソニモ│exonemo
千房けん輔と赤岩やえによるアートユニット。1996年にインターネット上で活動を開始し、以降、インターネットと現実空間、デジタルとアナログを自由に行き来しながら、ユーモアのある切り口と新しい視点を携えたプロジェクトを数多く手がけている。YCAMでは、2003年の開館記念展への参加、2006年と2011年には新作を制作・発表している。 2006年、《The Road Movie》がアルス・エレクトロニカでゴールデン・ニカ賞を受賞。2012年に組織したIDPWによるイベント「インターネットヤミ市」は、世界約20都市で開催されている。2015年、拠点をニューヨークに移し、NEW INCのメンバーなどを経て、現在活動の領域を拡大中。
exonemo.com

基本情報

展覧会名

メディアアートの輪廻転生

会期

2018年7月21日(土)~10月28日(日)10:00~18:00

休館日

火曜日

会場

山口情報芸術センター[YCAM]ホワイエ

料金

入場無料

ポータル

https://www.ycam.jp/events/2018/reincarnation-of-media-art/

交通アクセス

https://www.ycam.jp/guide/access/

クレジット

主催│山口市、公益財団法人山口市文化振興財団
後援│山口市教育委員会
助成│公益財団法人花王芸術・科学財団
共同開発│YCAM InterLab
企画制作│山口情報芸術センター[YCAM]

共同キュレーション│エキソニモ+ YCAM
「メディアアートの墓」構造デザイン│慶應義塾大学SFC 鳴川肇研究室
デザイン・ディレクション│加藤賢策(LABORATORIES)
アーカイブ監修│明貫紘子
映像ディレクション・撮影・編集(ティザー、インタビュー)│丸尾隆一
コーディネーション│細川麻沙美 
展示造作:フランク・ボーデ

YCAM InterLab
企画・監修│伊藤隆之
プロジェクト・マネージメント│クラレンス・ン
テクニカル・マネージメント│三浦陽平
テクニカル・ディレクション│大脇理智
設営サポート│安東星郎
サイネージ・ディレクション│伊勢尚生 村上千咲
照明デザイン│高原文江
映像技術│大脇理智 今野恵菜
音響技術│中上淳二
オーディオビジュアル・ガイド制作│三浦陽平
オーディオビジュアル・ガイド映像編集│石井栄一
エデュケーション│菅沼聖 山岡大地 石井草実
ドキュメンテーション│渡邉朋也
広報│青柳桃子 橋本奈々美 岡崎里美
コーディネーション│北堀あすみ 山田ちほ
企画制作│吉﨑和彦 井高久美子
アドバイス│城一裕

謝辞
本展の開催にあたって、左記の皆様より多大なるご協力を賜りました。
ここに記し、深く感謝の意を表します。

Num June Paik Art Center
田坂博子
岩光大祐(wcc works)
福田幹