“tFont/fTime”作品一覧(新作 / YCAM委嘱作品)

01. Movable Type(スタジオB)* ネット中継あり
02. Typesetting(スタジオB)* ネット中継あり / メッセージ表示
03. California Job Case(スタジオB)* ネット中継あり
04. No Flash Photography Allowed(スタジオB)* ネット中継あり / メッセージ表示
05. LCD/CRT(ホワイエ)*
06. No Flash Photography Allowed プロジェクション(ホワイエ)*
07. 巨大サイン LED(ホワイエ) メッセージ投稿により変化
08. 巨大サイン 立体彫刻(中央公園)
09. 「tFont」写真展示(2 階ギャラリー)
10. スタジオB中継映像プロジェクション(2Fエレベーター横)*
11. Semitransparent Designドキュメント映像展示(BIT THINGS)
12. 操作用コンピュータ(BIT THINGS) ネット中継表示
* サーバーによって文字の形状(劣化)の情報が共有され、連動している作品

主な展示作品

01. Movable Type(ムーバブル・タイプ / 活字)

音楽のように再生するフォント

01. Movable Type(ムーバブル・タイプ / 活版)
会場に並んだ6台のターンテーブル。レコードを再生すると、前面に位置するスクリーンには、アルファベットが順番に表示されます。鑑賞者は、ターンテーブルを操作し、スクラッチなどのDJテクニックを利用しながら、文字の形状に変化(歪み)を加え、その様子を映像と音で楽しむことができます。時間の方向を操ることで、音楽や動画のように時間軸上で再生されるフォントデザインが展開されるのです。
また一方で、展覧会の開館から閉館までの間、文字は再生が繰り返されることによって、次第に劣化していきます。ターンテーブルの再生と操作によって、身体と文字とが瞬間的に関係する「歪み」、そしてサーバーによるもうひとつの時間軸が生む「劣化」。本作では、鑑賞者によって操作される実時間とメディアがもたらす時間とが重なり、複合的な時間軸の姿が新たなフォントスケープとして立ち現れます。

02. Typesetting(タイプセッティング / 組版)

ウェブサイトに投稿されたメッセージが、「tFont」となって見えてくる

02. Typesetting(タイプセッティング / 組版)
特設ウェブサイトや専用のアドレスに投稿されたメッセージが、作品「Movable Type」(01)で生成されたフォントによって、次々と表示されます。つまり、ウェブサイトにおける投稿の時間と、会場で更新されるフォントの劣化情報が完全に同期することで、参加者の言葉が姿をあらわすのです。この様子は、ライブ映像として、ウェブサイトでも配信されており、投稿した参加者も、会場での劣化の変容プロセスを見ることができます。会場とウェブサイト、鑑賞者と参加者とのあいだを同期する時間、さらに表現において使用されるメディアがもたらす時間とが重なり、変容し続けるフォント。それは、ネット社会特有の時間のあり方、そして不特定のユーザー間を移行するメッセージの姿ともいえます。

03. California Job Case(カリフォルニア・ジョブ・ケース / 組版箱)

オリジナルフォント「tFont」の変容プロセスを一望する

03. California Job Case(カリフォルニア・ジョブ・ケース / 組版箱)
アルファベットと数字(A-Z、0-9)の一覧が表示されたこの作品は、フォントの劣化していくプロセスを一望できるものです。
鑑賞者は、ターンテーブルで再生速度を変化させながら、時間軸が多層に重なり、刻々と変化するフォントの様子を楽しむことができます。「tFont」のフォントサンプルとでもいうような一覧は、33 個の文字が、時間とともに個性を際立たせたフォントへと変容する姿を映し出します。

04. No Flash Photography Allowed(ノー・フラッシュ・フォトグラフィー・アラウド / フラッシュを使用しない撮影は許可されています)

カメラで撮影することで、初めて見えるメッセージ

04. No Flash Photography Allowed(ノー・フラッシュ・フォトグラフィー・アラウド / フラッシュを使用しない撮影は許可されています)
点滅する大量の光の粒が映し出されたスクリーン。これは、本展の特設ウェブサイトや専用のアドレスに投稿されたメッセージを、オリジナルフォント「tFont」によって表示したものです。鑑賞者は、この流れる光=アニメーションを、カメラで撮影し、時間の操作を加えることではじめて解読することができます。私たちの視覚には点滅にしか見えない情報は、カメラのもつ肉眼とは異なる露光時間(シャッタースピード)によって文字として可視化され、言葉として浮かび上がります。他者による加工(撮影)=2次創作によって発揮されるクリエイティビティやコミュニケーション。それは、都市を舞台として新しい風景を創出するスケーターカルチャーやストリートセンスにあるオルタナティブな創造性ともいえます。セミトラは、そこから、ウェブデザインにある新しい知覚と速度を読み解っています。

05. LCD/CRT(エルシーディー・シーアールティー)

メディアを通じて、表情を変えるフォント

を体感液晶モニタ(LCD)とブラウン管(CRT)計10台を配置し、「fTime」によるフォントの姿をあらわしたインスタレーション。展覧会場とインターネット経由で更新される「fTime」から、フォント1文字のみを抽出してランダムに切り替えたり、再生速度を変え、劣化のプロセスを表示した映像が、解像度や再現システムの異なるディスプレイに映し出されます。フォントと時間、そしてアウトプットメディアとの多様な関係性が、象徴的に表現されます。

07/08. 本展のシンボル、立体彫刻とネオンサイン

07. 本展のシンボル、立体彫刻とネオンサイン
07. 本展のシンボル、立体彫刻とネオンサイン

本展のキーワード「T(time)」と「F(font)」の巨大サイン。ホワイエには、LED照明の光が動く「T」と「F」のオブジェ。その光は、ウェブサイトからメッセージが投稿される度に、色彩が変化します。そして、野外の中央公園には立体彫刻と、ベンチとして機能する巨大フォント「T」と「F」が設置されています。建物やYCAMを取り巻く環境に文字が溶け込み、日々の情景とともに変化していくフォントスケープを楽しめます。

12. メッセージを投稿し、会場の風景を中継する作品ウェブサイト

ウェブサイト http://www.semitraexhibition.com/
会期中は、この特設サイトから、いつでも会場にアクセスすることができます。メッセージを投稿し、フォントとして、どのように変容するのか、中継映像でご覧いただくことができます。