展示概要
FILM by MUSICは、以下の3つで構成されています。
「架空の映画音楽の為の映像コンペティション」受賞作品+招聘作品 展示上映
場所:FRANK cafe/gallery (山口市道場門前 2-4-19 2F/3F) 12:00 – 17:00/入場無料
YCAMでは、本年開館10周年を迎え、フェスティバルのアーティスティックディレクターに坂本龍一を迎えて、「アートと環境の未来・山口/YCAM10周年記念祭」を開催いたします。本プロジェクトは、坂本龍一とYCAMとがコンセプトの協議を重ね、映画音楽/サウンドトラックから映画/映像を考えようという視点のもとに構想した、初めての試みです。
一般に映画音楽は、映画の映像制作がまず根底にあり、先の映像のプランに対して音楽をつけていくことが前提となることが普通です。しかし一方で、架空の映画の為に作曲された映画音楽が存在します。 一例として、アーノルト・シェーンベルク作曲『映画の一場面の伴奏音楽 作品34』は、音楽出版社から委嘱された“映画音楽を想定して作曲する”という企画に、作曲家が応じた1930年の作品です。さらに作曲から42年後、映画監督ストローブ=ユイレが、現代のローマを舞台にその音楽に対して映画化した事でも知られています。また他に、ブライアン・イーノなども架空の映画の為の映画音楽を作曲している例があります。
本企画では、これらの前例でも示されているように、まず映画音楽が存在し、その後に映像が制作されるという”架空の映画のために作曲された映画音楽”をコンセプトにした企画です。坂本龍一が選んだ、青葉市子、上野耕路、三輪眞弘の3氏に、オリジナルの楽曲を委嘱し、その曲に映像表現をつける”音楽から始まる映画/映像”を広く公募しました。そして、厳正なる審査をへて選出された受賞作品をここに上映いたします。また、同じ音楽を使う形で、現在注目を浴びている3組の若手の映画監督;瀬田なつき、真利子哲也、三宅唱の3氏を本企画に特別招聘し、YCAMが委嘱した映画作品も同時に展示上映いたします。音楽家があるイメージを持って作曲した映画音楽が、映画/映像作家にどのように多様に解釈されイメージされていくのか、映画/映像と音楽/音との関係性について、普段とは異なる角度や背景から思考・鑑賞していただく機会となれば幸せです。本企画の実現に際し、ご尽力・ご協力いただいた関係者の方々に改めて感謝いたします。
山口情報芸術センター[YCAM]
課題曲について
受賞作品について
優秀賞
「みづくろい」吉開菜央
2013年/日本/4分33秒/音楽:青葉市子
「日々」大柿鈴子
2013年/日本/3分56秒/音楽:青葉市子
「2012 sep 12」大力拓哉
2013年/日本/3分40秒/音楽:上野耕路
「ricochet」朝倉太郎
2013年/日本/6分34秒/音楽:青葉市子
「CACHÉ」ウンベルト・ドゥケ、ニック・ディーマー
2013年/Mex・USA/5分/音楽:三輪眞弘
佳作
「日常」室井孝介
2013年/日本/2分21秒/音楽:青葉市子
「日本」布村喜和
2013年/日本/3分59秒/音楽:上野耕路
次点
「WHITE」ALIMO
2013年/日本/6分3秒/作曲:三輪眞弘
「User Haus」(ウンザーハオス)木村悟之
2003年/日本/5分/音楽:三輪眞弘
「ギターのはなし」早坂亮輔
2003年/日本/7分/音楽:青葉市子
「それ自身の為に愛される」佐藤裕樹
2013年/日本/4分44秒/音楽:青葉市子
「377」古屋晋司
2013年/日本/5分12秒/音楽:三輪眞弘
招聘作家
今、日本で注目されている若手映画監督3名に『架空の映画音楽の為の映像コンペティション』のために作曲された曲で、7分以内の短編映画の制作を委嘱しました。それぞれ独自の視点と作風をもつ3名の映画監督が描き出す世界を山口で初公開します。
「5windows mountain mouth」瀬田なつき
「NINIFUNI+」真利子哲也
「ブラジル旅行」三宅唱
瀬田なつき(せたなつき)
1979年大阪府生まれ、映画監督。
東京芸術大学大学院映像研究科映画専攻修了。主な監督作に『彼方からの手紙』(2008)、『あとのまつり』(2009)などがある。2011年、自身初のメジャー映画長編作品『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』(出演:大政絢、染谷将太)が全国公開された。5つの物語で構成された『5windows』での実験的な試みや、携帯電話やweb などで展開していくドラマの演出のほかに、深夜連続ドラマ「ヴァンパイア・ヘヴン」(テレビ東京)の演出を手がけている。
真利子哲也(まりこてつや)
81年、東京生まれ。法政大学在学中に『ほぞ』が、03年長府映画祭でグランプリを受賞。8mm映画 『極東のマンション』『マリコ三十騎』が2年連続でゆうばり国際ファンタスティック映画祭オフシアター部門グランプリを受賞し、注目される。07年、東京 藝術大学大学院映像研究科に入学。修了作品『イエローキッド』が、学生映画としては画期的なロード ショー公開となる。11年『NINIFUNI』が、ロカルノ国際映画祭で、中編映画としては異例の招待作品に選ばれた。新作はオムニバス映画『同じ星の 下、それぞれの夜』の一篇、『FUN FAIR』。
三宅唱(みやけしょう)
1984年札幌生まれ。2007年映画美学校フィクションコース初等科修了し、2009年に一橋大学社会学部卒業。2009年短編『スパイの舌』が第5回CO2・オープンコンペ部門最優秀賞を受賞。2010年初長編作として『やくたたず』を製作・監督(第6回CO2助成作品)。最新作『Playback』(2012)が第65回ロカルノ国際映画祭インターナショナル・コンペティション部門正式出品され、また第27回高崎映画祭新進監督グランプリを受賞した。東京では10週のロングラン上映を記録した(現在全国ロードショー中)。
後援:山口市教育委員会
平成25年度文化庁地域発・文化芸術創造発信イニシアチブ
企画制作:山口情報芸術センター[YCAM]