2013年11月に10周年を迎える山口情報芸術センター[YCAM]は、アート/メディア/身体表現の領域を拡げる創造と発信拠点として「アートと環境の未来・山口 YCAM10周年記念祭」を開催します。YCAMが拠点とする山口市と一体となって取り組む事業の一つとして、初の公募展示を開催いたします。

募集テーマ音楽から始まる映画/映像

映画や映像と共にあり、その演出に効果的に同期していく映画音楽。その多くは、存在する映画に合わせてつけられる映画音楽ですが、一方で実在しない架空の映画の為に作曲された映画音楽も存在します。音楽家が、あるイメージを持って作曲した、その実在しない映画の為の音楽に、映像をつけていくとしたら、どのような解釈で作品が出来上がるのでしょうか。そしてそれは、映像/映画と音楽の関係性も含め、改めて映画音楽とは何かを考えるきっかけにもなるのではないでしょうか。

この度、3名の作曲家に「架空の映画の為に作曲された映画音楽」の作曲を委嘱し、その音楽から想像される映像をつけた映画/映像をジャンル問わず、広く募集します。選出された作品はYCAMや市内各所にて上映されます。

楽曲提供者(敬称略)

三輪眞弘、上野耕路、青葉市子

三輪眞弘

58年生まれ。作曲家、メディアアーティスト。情報科学芸術大学院大学教授。東京都立国立高等学校卒業後、ベルリン芸術大学にて尹伊桑に師事し、その後ロベルト・シューマン大学でギュンター・ベッカーに師事。04年の『オーケストラのための「村松ギヤ・エンジンによるボレロ」』 で芥川作曲賞を受賞するほか、07年に「逆シミュレーション音楽」がプリ・アルス・エレクトロニカのデジタルミュージック部門でゴールデン・ニカ賞を受賞するなど、受賞多数。10年度芸術選奨文部科学大臣賞受賞。

上野耕路

1970年代後半よりバンド『8 1/2』『ゲルニカ』で活動。以後バレエ、舞台、映画、CM(『たらこ・たらこ・たらこ』など)で活躍。1989年に『ウンタマ・ギルー』で第44回毎日映画コンクール音楽賞。NHK音楽映像詩『幻蒼』(1995年)で第32回プラハ国際テレビ祭チェコ・クリスタル賞、犬童一心監督『ゼロの焦点』(2009年)で日本アカデミー賞優秀音楽賞受賞。2012年、蜷川実花監督作品映画『ヘルタースケルター』、最新作は、犬童一心・樋口真嗣監督『のぼうの城』。日本作曲家協議会会員。JASRAC正会員。日本大学藝術学部映画学科非常勤講師。

青葉市子

90年生まれ。17歳からクラシックギターを弾き始める。10年1月、19歳の時に1stアルバム「剃刀乙女」でデビュー。2dnアルバム「檻髪(おりがみ)」、3rdアルバム「うたびこ」と、これまでに3枚のオリジナル・アルバムを発表している。

審査員(敬称略)

坂本龍一(音楽家)、樋口泰人(boid主宰/映画批評)
岡本美津子(プロデューサー/東京藝術大学映像研究科アニメーション専攻教授)
辻川幸一郎(映像作家)、真利子哲也(映画監督)
阿部一直(山口情報芸術センター [YCAM] 副館長/チーフキュレーター/アーティスティックディレクター)

坂本龍一

音楽家。52年生まれ、米国ニューヨーク州在住。78 年『千のナイフ』でデビュー、同年YMOに参加。YMO散開後、数々の映画音楽を手がけ、作曲家として米アカデミー賞を受賞するなど世界的な評価を得つつ、常に革新的なサウンドを追求している。99年制作のオペラ『LIFE』以降、環境・平和・社会問題に言及することも多く、9・11 同時多発テロをきっかけに、論考集『非戦』を監修。07年には「more trees」を設立し、温暖化防止についての啓蒙や植樹活動を行う。09年には国連環境計画が実施するECHO Festival において「Echo Award」を受賞。同年、フランス共和国より芸術文化勲章オフィシエ受勲、10年文化庁芸術選奨文部科学大臣賞受賞。11年東日本大震災復興支援プロジェクトとして、「LIFE311 by more trees」「こどもの音楽再生基金」「www.kizunaworld.org」など、さまざまな活動を続けている。

樋口泰人

57年生まれ。映画批評、boid主宰。「カイエ・デュ・シネマ・ジャポン」 編集委員を経て、98年に個人レーベルboid(ボイド)を設立。執筆活動と並行して、ドキュメンタリー・ビデオ、書籍、音楽CD の企画・製作、映画の配給・宣伝を手掛ける。04 年から吉祥寺バウスシアターでライヴ音響システムを使用した「爆音上映」のイヴェントを開始、さらに08 年からは毎年「爆音映画祭」(www.bakuon-bb.net)も開催している。著作に『映画とロックンロールにおいてアメリカと合衆国はいかに闘ったか』(青土社刊)がある。

岡本美津子

プロデューサー。NHKにてデジタルアート作品の公募番組「デジタル・スタジアム」や、データ放送、インターネット、携帯コンテンツの開発などを手がける。2008年から東京藝術大学映像研究科アニメーション専攻教授に着任。企画・プロデュースの研究、教育を行う。2010年4月からNHKEテレで毎週月~金放送中の「2355」「0655」および、2012年3月からEテレ「テクネ 映像の教室」の企画・プロデュース、NHKみんなのうた「moonfesta 」「ヤミヤミ」の映像プロデュースなどを行う。

辻川幸一郎

フリーのグラフィックデザイナーとして活動をはじめ、友人のミュージシャンのMV制作を頼まれた事から、映像制作をはじめる。現在ではCM、MV、ショートフィルム、などの映像作品を中心に、webやグラフィックの企画など様々なジャンルで国内外問わず制作中。これからも。

真利子哲也

81年、東京生まれ。法政大学在学中に『ほぞ』が、03年長府映画祭でグランプリを受賞。8mm映画『極東のマンション』『マリコ三十騎』が2年連続でゆうばり国際ファンタスティック映画祭オフシアター部門グランプリを受賞し、注目される。07年、東京藝術大学大学院映像研究科に入学。修了作品『イエローキッド』が、学生映画としては画期的なロード ショー公開となる。11年『NINIFUNI』が、ロカルノ国際映画祭で、中編映画としては異例の招待作品に選ばれた。新作はオムニバス映画『同じ星の下、それぞれの夜』の一篇、『FUN FAIR』。

阿部一直

YCAMチーフキュレーター、アーティスティックディレクター、副館長。
90年~01年キヤノン株式会社文化支援プロジェクト「キヤノン・アートラボ」プロジェクト専任コ・キュレーターとして創設から関わり、古橋悌二「LOVERS」、Knowbotic Research「IO_DENCIES」、C.ニコライ+M.ペリハン「polar」をはじめ、数々のメディアアートのオリジナルプロジェクトをプロデュース。01年より山口情報芸術センター開館準備室を経て03年より現職。12年より副館長兼任。05年ベルリン”transmediale award 06”国際審査員。09年「第4回デジタルアートフェスティバル台北/デジタルアートアワーズ」国際審査員。

応募資格

  • 年齢・国籍不問、プロ・アマ問いません(グループ応募可、複数応募可)。
  • 応募作品のジャンルは問いません。
  • 著作権が応募者以外にある作品、他の映画祭やコンペティションでの受賞作品や既に劇場やテレビ、web等で公開された作品、もしくは予定がある作品の応募はご遠慮ください。
  • 1曲につき1作品、7分以内の長さとします(エディット可)。
  • グループで参加する場合は、必ずそれぞれの役割等をクレジットしてください。

賞金

500,000

応募方法

  • エントリーシートをウェブサイトよりダウンロード頂き、映像作品を収録したDVD1枚と共にご送付ください。
  • DVD-VIDEOによる提出をお願いいたします。
  • NTSC、リージョン・フリーによる作品であること(ブルーレイは不可)。
  • アスペクト比:16:9(レターボックスの使用可)。
  • 優秀作品に選ばれた作品は、上映用に高画質のデジタルデーターの再提出をお願いする場合があります。
  • 楽曲の利用にあたっては、規約をよくお読み頂いてから、ダウンロードください。(2013年2月1日より公開)

応募書類は返却いたしませんのでご注意ください。

エントリーシートをダウンロード(PDF)
楽曲をダウンロード(利用規約を表示)
※楽曲のダウンロードは2013年4月30日をもって終了いたしました。

楽曲サンプル

三輪眞弘
映像のための「新しい時代」The New Era for movies

1. 曲のエディットについて

可能

2. コメント

夢を見ました。
白い子供の夢です。
真っ白で、鼻も口もまん丸くて、ぶよぶよとして、目だけが光っていました。
それでもなぜ子供だとわかったのかは覚えていません。

次に見た夢で、ぼくはすごく驚きました。
その白い子供は、ぼくのお腹の中で生まれた、ぼくの子供だったのです。
ぼくは男なのに、その時はそれが少しも不思議だとは思わなかった。
そして、目が覚めた時ぼくは、とても怖くて寝ながら泣いていました。

上野耕路
music for an imaginary film

1. 曲のエディットについて

この曲にそのまま合わせてフィルムを作る、作ったフィルムにこの曲からの編集素材を充てて行く、そのどちらでも良いが、編集素材を充てて行く場合、出来るだけこの曲全てのパーツを使用することが望ましい。

2. コメント

最近僕は「映画のポストプロダクションとしての音楽」という一般的な行程に組み込まれることが多かったため、音楽を映像よりも先に作るというこの企画において、映像の作り手にとっての音楽の使い勝手はどうなるのだろうということが、作曲をする上でまずとても気にかかりました。そう思いながらも完成させたのがこの曲です。

青葉市子
SAKANA

1. 曲のエディットについて

どのようなエディットも可。

2. コメント

素晴らしい企画にお誘いいただき嬉しく思っています。
提供した楽曲は、スタジオにて即興で録音しました。
たくさんのエントリーお待ちしています。

応募受付期間

2013415[月]30[火]

※ 課題曲の視聴・ダウンロードは、2013年2月1日より可能です。

結果発表

201371[月]

展示期間

10周年記念祭会期中:201376[土]121[日]

応募書類の郵送先

〒753-0075 山口県山口市中園町7-7 山口情報芸術センター 公募事務局
「架空の映画音楽のための映像コンペティション」係

応募に関するお問い合わせ

山口情報芸術センター[YCAM] 「架空の映画音楽のための映像コンペティション」公募担当
entry@ycam.jp
※ お問い合わせはメールにてお願いいたします。