野村萬斎 + 坂本龍一 + 高谷史郎
LIFE - WELL
伝統と前衛のこれまでにない融合
トップアーティストたちによるコラボレーションが YCAMで実現
能楽コラボレーション「LIFE – WELL」の舞台空間となるのは、2007年に坂本と高谷がYCAMで滞在制作したインスタレーション「LIFE・fluid, invisible, inaudible…」です。これは、坂本が1999年に手がけたオペラ「LIFE」をインスタレーションとして解体/再構築したもので、20世紀の歴史と音楽を総括するという壮大なコンセプトを持っています。
そこで上演される演目も古典作品だけに止まらず、現代能、戯曲、詩と、能楽という世界を軸に、古今東西の思想が交錯します。今回の上演は2部構成となっており、その第1部では、3つの古典演目の上演を通して、この水や大気が、田畑や雲、海洋へと自在にその姿を変えながら描かれていきます。
続く第2部では、能楽に影響を受けたアイルランドの詩人で劇作家のW.B.イェイツの戯曲や、さらにそこから日本で生まれた能楽作品が登場します。上演全体に通底しているのは、私たちの祖先が持っていた超常的な存在を含む自然への親しみや驚嘆、そして畏敬の念です。19世紀末から20世紀初めに書かれたイェイツの作品では、すでにそうした感覚を失いかけているがゆえに、強く求めて止まない人間の姿が描かれているのです。
このような能楽と演劇に加えて、音楽そしてメディアアートという多様なジャンルのコラボレーションが、時に即興的なセッションを通じておこなわれる点も、本作の大きな魅力の1つです。野村萬斎の朗読、坂本龍一のピアノ、囃子方の演奏、そして高谷史郎の映像が、緊張感ある競演を展開します。
10周年記念祭のテーマである〈アート〉〈環境〉〈ライフ〉に、能楽という近代以前から続く言葉や身体、音楽が応答することで、さらに広い歴史的。視野を通して、過去から未来を問いかけます。
第一部
「狂言 田植」
シテ(神主):野村萬斎
立衆(早乙女):高野和憲、中村修一、内藤連
後見:飯田豪
笛:一噌隆之
小鼓:大倉源次郎
大鼓:亀井広忠
太鼓:小寺真佐人
舞囃子「賀茂 素働」
シテ(別雷神):梅若紀彰
地謡:上野雄三、山本博通、梅若基徳、鷹尾章弘
笛:一噌隆之
小鼓:大倉源次郎
大鼓:亀井広忠
太鼓:小寺真佐人
素囃子「猩々乱」
笛:一噌隆之
小鼓:大倉源次郎
大鼓:亀井広忠
太鼓:小寺真佐人
ピアノ:坂本龍一
第二部
「鷹の井戸」(作=ウィリアム・バトラー・イェイツ 邦訳=松村みね子」
「鷹姫」(作=横道萬里雄 節付=観世寿夫)
朗読者・空賦麟:野村萬斎
シテ(鷹姫):梅若紀彰
笛:一噌隆之
小鼓:大倉源次郎
大鼓:亀井広忠
太鼓:小寺真佐人
地謡(岩):上野雄三、山本博通、梅若基徳、鷹尾章弘、高野和憲、中村修一、内藤連、飯田豪
ピアノ:坂本龍一
「湖の島イニスフリー」(作=ウィリアム・バトラー・イェイツ 邦訳=高松雄一)
参加作家 | 野村萬斎、坂本龍一、高谷史郎 |
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日時 | 10月22日 (火)14:00開演/19:00開演 (2回公演) |
会場 | YCAMスタジオA |
料金 | 全席指定 【前売】一般:7,000円/any 会員・特別割引:6,500円/25歳以下:6,300円 【当日】7,500円 チケット発売日 any会員先行予約:8月31日 (土) 一般発売:9月7日 (土) |
その他 |
※「LIFE-WELL」をご観劇の皆様のために、YCAMは10月22日(火)特別開館します。 |
関連展示
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「LIFE – WELL」インスタレーション
インスタレーションの様子はこちら
野田神社までのアクセスマップはこちら
野外舞台の貴重な保存例である山口市・野田神社能楽堂。その境内で、上演とテーマを同じくするインスタレーションを展示します。伝統文化の歴史を今に伝える。空間に幻想的な世界が拡がります。
インスタレーションでは、坂本が手がけたサウンドに包まれた神社の古池に、アーティストの高谷史郎が設計した装置によって人工霧を発生させ、そこに太陽光を反射/照射させることで、霧と光、そして音が融合した幻想的な世界をつくりだします。
また、10月20日(日)、22日(火)、11月2日(土)〜4日(月・祝)は、野田神社能楽堂を一般公開します。音楽:坂本龍一
総合演出:高谷史郎日時 10月20日 (日) ~ 22日 (火)、26日 (土)、27日 (日)、11月1日 (金) 、3日(日、4日 (月・祝)各日12:00 - 17:00
(荒天の場合は中止)会場 野田神社能楽堂・境内 (山口県山口市天花1丁目1-2) 料金 無料
関連イベント
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「LIFE – WELL」インスタレーションライブ
「LIFE - WELL」インスタレーションの美しい空間を舞台にラップトップコンピューターによるパフォーマンスを展開するのは、坂本と、坂本がかねてから高く評価している気鋭の音楽家Ametsub(アメツブ) 。初共演となる2人が生み出すサウンドスケープにご期待ください。
出演 坂本龍一、Ametsub 日時 11月2日(土)15:00 開演
(荒天の場合中止)会場 野田神社能楽堂・境内(山口県山口市天花1丁目1-2) 料金 [スタンディング]前売/一般 2,500円、any会員・25歳以下・特別割引 2,000円、当日/3,000円(当日は各種割引の対象外)
チケット発売日:9月14日(土)
※前売チケットは予定枚数に達し、完売となりました。
※当日券の販売については、当日の朝10時以降にお問い合わせください。
プロフィール
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坂本龍一(サカモト リュウイチ)
音楽家。1952年生まれ、米国ニューヨーク州在住。78年『千のナイフ』でデビュー、同年YMOに参加YMO散開後、数々の映画音楽を手がけ、作曲家として米アカデミー賞を受賞するなど世界的な評価を得つつ、常に革新的なサウンドを追求している。2007年には「more trees」を設立し、温暖化防止についての啓蒙や植樹活動をおこなう。11年東日本大震災復興支援プロジェクトとして、「LIFE311 by more trees」「こどもの音楽再生基金」「www.kizunaworld.org」を立ち上げるなど、さまざまな活動を続けている。音楽とアートを横断する柔軟な視点と、歴史・思想・哲学まで包含する幅広い知識に対してアートの分野からも信頼が厚く、2014年の札幌国際芸術祭(SIAF)のゲスト・ディレクターにも就任するなど、アート界への越境も積極的におこなっている。 -
野村萬斎(ノムラ マンサイ)
狂言師。1966年生まれ。人間国宝野村万作の長男祖父故6世野村万蔵及び父に師事。重要無形文化財総合指定保持者。東京芸術大学音楽学部卒業。「狂言ござる乃座」主宰。国内外の狂言・能公演はもとより、現代劇や映画の主演、古典の技法を駆使した作品の演出、NHK「にほんごであそぼ」に出演するなど幅広く活躍。現代に生きる狂言師として、あらゆる活動を通し狂言の在り方を問うている。芸術選奨文部科学大臣新人賞、朝日舞台芸術賞、紀伊國屋演劇賞、2012年度芸術祭優秀賞を受賞。著書に「MANSAI◎解体新書」(朝日新聞出版)、「狂言サイボーグ」(日本経済新聞社)等がある。世田谷パブリックシアター芸術監督。 -
高谷史郎(タカタニ シロウ)
アーティスト。1963年生まれ。84年、アーティストグループ「ダムタイプ」の創設時から活動に参加。ビジュアルワークを総合的に担当し、現在はディレクションに関わる。主な個人の活動としては、99年に坂本龍一のオペラ『LIFE』の映像を担当。2007年に坂本龍一とのコラボレーションによるインスタレーション『LIFE - fluid, invisible, inaudible…』を制作。08年にはパフォーマンス『明るい部屋』を、また12年にはパフォーマンス『CHROMA』を発表。
- 主催:山口市、公益財団法人山口市文化振興財団
- 後援:山口市教育委員会、豊栄神社、野田神社
- 企画制作:山口情報芸術センター[YCAM]
- 平成25 年度文化庁劇場・音楽堂等活性化事業
- 協賛:資生堂
- 制作協力:万作の会
- 機材協力:株式会社エクソル
- 共同開発:YCAM InterLab
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