12月16日[土]

山口のメディアアートセンターで映画を作ってみる監督／みた監督

YCAMで映画を作るプロジェクト「YCAM Film Factory」。この8月から滞在を開始し、今まさにYCAMスタッフとコラボレーションする映画制作のど真ん中にいる三宅唱監督と、第一弾作品として「ギ・あいうえおス 他山の石を以って己の玉を磨くべし」を完成させた柴田剛監督が登壇し、メディアアートセンターであるYCAMで、映画制作を原点から見つめ直し、まだ見ぬ新作に取り組む醍醐味を伺います。

Profile

• 柴田 剛

  映画監督

  1975年神奈川県生まれ。映画監督。代表作に、処女長編『NN-891102』（1999）、『おそいひと』（2004／第５回東京フィルメックスコンペティション部門出品)、『堀川中立売』（2009／『映画芸術』誌 2010年邦画べストテン第２位、NIPPON CONNECTION 2011 最優秀賞）、『ギ・あいうえおス –ずばぬけたかえうた–』（2010／第3回恵比寿映像祭、Hors Pistes 2013、PUNTO DE VISTA 国際ドキュメンタリー映画祭コンペティション部門出品）。最新作は『ギ・あいうえおス 他山の石を以って己の玉を磨くべし』。

• 三宅 唱

  映画監督

  1984年札幌生まれ。『やくたたず』（2010）ののち、劇場公開第１作『Playback』（2012）を監督、同作はロカルノ国際映画祭に正式出品された。現在は最新作『THE COCKPIT』（2014／出演：OMSB、Bimほか）の公開準備中。また、ビデオダイアリー「無言日記」シリーズをboidマガジンにて毎月発表している。共著に『森﨑東党宣言！』（インスクリプト）。

アイデアが結びつける身体とテクノロジー－身体表現のつくり方

ダンスや演劇など身体表現はどうやってつくられ、観客に届けられているのでしょうか？特にYCAMではテクノロジーを使った表現を、ラボを中心にした研究開発によって実現してきました。フェスティバルのディレクター、作家、プロデューサーという立場から、時代とともに更新される技術と表現を結びつけるアイデアについて、実例をご紹介していきます。

Profile

• 橋本裕介

  KYOTO EXPERIMENTロームシアター京都
  プログラムディレクター

  1976年福岡生まれ。京都大学在学中の1997年より演劇活動を開始。2003年橋本制作事務所を設立後、京都芸術センター事業「演劇計画」など、現代演劇、コンテンポラリーダンスの企画・制作を手がける。2010年よりKYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭を企画、プログラムディレクターを務める。2013年2月より舞台芸術制作者オープンネットワーク（ON-PAM）理事長。2014年1月よりロームシアター京都勤務、プログラムディレクター。

“LAB”は地域で何ができるのか？

近年、地域を巡るオルタナティブな取り組みが日本各地で広がっています。YCAMでは2013年と2016年に、メディア・テクノロジーを駆使した新しいタイプの地域プランナー育成のための集中ワークショップ「RADLOCAL」を開催しました。日本各地に起業家が続々移住する拠点をつくり始めているNext Commons Lab代表の林篤志氏をゲストに迎え、地域に“LAB”があることでどのような思考と駆動がうまれるのかについて議論していきます。

Profile

• 林篤志

  一般社団法人Next Commons Lab代表理事

  1985年生まれ。Next Commons Lab ファウンダー。高専卒業後、エンジニアを経て独立。2009年、自由大学の立ち上げに参画。2011年、高知・土佐山にて土佐山アカデミーを共同創業。2016年、自治体・民間企業・起業家など多様なステークホルダーを巻き込みながら、ポスト資本主義社会を具現化するための社会OS「Next Commons Lab」プロジェクトを開始。

パーソナル・バイオテクノロジーの夜明け

YCAMでは2015年より館内にバイオラボを設置し、近年飛躍的に発展するとともにパーソナルになっていくバイオ・テクノロジーについて、芸術表現や教育、地域などの分野における応用可能性を探っています。このセッションでは、生物学者を目指していたこともある美学者の伊藤亜紗さんをゲストに迎え、これまでのYCAMバイオ・リサーチの取り組みの紹介と今後の展望を構想します。

Profile

• 伊藤亜紗

  東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授

  1979年生まれ。東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授。専門は美学、現代アート。もともと生物学者を目指していたが、大学三年次より文転。2010年に東京大学大学院人文社会系研究科を単位取得退学。主な著作に『目の見えない人は世界をどう見ているのか』（光文社）、『目の見えないアスリートの身体論』（潮出版）、『ヴァレリーの芸術哲学、あるいは身体の解剖』（水声社）、参加作品に小林耕平《タ・イ・ム・マ・シ・ン》など。

各プロジェクトの担当者が壇上に上がり、設定されたテーマのもと、YCAMの活動の根幹にある、「ともにつくり、ともに学ぶ」ことの意味をファシリテーター、そして会場の参加者を交えた対話を通して探っていきます。

12月17日[日]

山口から考える「テクノロジーと学び」

YCAMでは開館以来、作品制作から派生するかたちで、メディア・テクノロジーを活用したオリジナルワークショップを開発しています。近年はそのノウハウを活かした子ども向けの学び場「コロガル公園」の開発にも力を入れています。それらは山口市内を中心に国内各地で展開されており、高い評価を得ています。アーティストユニット、エキソニモをゲストに迎え、これからの学びのあり方を議論します。
* 当セッションのゲストはオンラインで登壇いたします。

Profile

• エキソニモ

  アートユニット

  怒りと笑いとテキストエディタを駆使し、さまざまなメディアにハッキングの感覚で挑むアートユニット。千房けん輔と赤岩やえにより1996年よりウェブ上で活動開始。2000年より活動をインスタレーション、ライヴ・パフォーマンス、イヴェント・プロデュース、コミュニティ・オーガナイズなどへと拡張し、デジタルとアナログ、ネットワーク世界と実世界を柔軟に横断しながら、テクノロジーとユーザーの関係性を露にし、ユーモアのある切り口と新しい視点を携えた実験的なプロジェクトを数多く手がける。国内外の展覧会やフェスティバルで活躍。2006年《The Road Movie》がアルス・エレクトロニカ ネット・ヴィジョン部門でゴールデン・ニカ賞を受賞。2010年に東京TDC賞で《ANTIBOT T-SHIRTS》がRGB賞を受賞。2012年よりIDPWを組織し「インターネットヤミ市」などを手がける。2015年、NEW MUSEUMによるインキュベータNEW INCの第二期メンバーとなり、現在はニューヨークを拠点に活動中。

人類にとって布とは何か？

今回登壇するゲストと共に2015年より進めてきた全く新しい機能・意味を持つ布の研究開発の成果を、各々によるプレゼンテーションを通じて紹介します。株式会社細尾＋YCAMの共同研究開発成果展示「布のデミウルゴス－人類にとって布とは何か？」を踏まえた対話を通じ、古代から人の内面性・身体性・環境との交わりに多大な影響を与えてきた布の未来、そして、YCAMにおける共同研究開発の今後のあり方を考えます。

Profile

• 細尾真孝

  株式会社細尾常務取締役/MITメディアラボディレクターズフェロー

  1978年、西陣織老舗 細尾家に生まれる。大学卒業後、音楽活動を経て、大手ジュエリーメーカーに入社。退社後フィレンツェに留学し、2008年に細尾に入社。西陣織の技術、素材をベースにしたテキスタイルを海外に向けて展開し、世界のトップメゾンをクライアントに持つ。また、アーティストとのコラボレーションも積極的に行う。2012年より京都の伝統工芸を担う同世代の若手後継者によるプロジェクト「GO ON」を結成。2014年、日経ビジネス誌「日本の主役100人」に選出。2016年、マサチューセッツ工科大学（MIT）メディアラボ ディレクターズフェローに就任。西陣織と最先端のテクノロジーの融合による革新的なテキスタイルの開発を行う。

• 筧康明

  アーティスト/研究者/慶応大学准教授

  慶應義塾大学環境情報学部准教授。学際情報学博士。人間の五感や物理素材の特性とデジタル情報を掛け合わせて、身体、道具、コミュニケーションを拡張するインタラクティブメディアを開発する。ACM SIGGRAPH、Ars Electronica Festivalなど工学・アート・デザインの分野をまたがって研究成果や作品を発表し、平成26年度科学技術分野の文部科学大臣表彰若手科学者賞など受賞。触感表現の普及活動「TECHTILE」を共同で立ち上げ (2011〜12年度YCAMも参加)、2012年グッドデザイン賞BEST100に選出。アートユニット「plaplax」としても、主に商業分野におけるメディアテクノロジー／表現の展開可能性を開拓する。

• 古館健

  アーティスト/プログラマー

  1981年神奈川生まれ、京都在住。コンピュータープログラミング、メカトロニクスなどを用いて、インスタレーション、ライブパフォーマンスなどをおこなう。2002年よりサウンドアートプロジェクト「The SINE WAVE ORCHESTRA」を主宰。第二回横浜トリエンナーレ（2005）をはじめ、国内外、様々な展覧会にて作品を発表。Prix Ars ElectronicaにてHonorary Mentionを受賞（2004）。高谷史郎、坂本龍一、Dumb Typeを始め、様々な作家の制作に参加。

YCAMから考える音楽の未来

本セッションでは、プログラミングとラップという異なるシーンの最先端に位置する音楽家、徳井直生、環ROYの2人をゲストに迎えます。ダンサー島地保武と環で創作したダンスとラップの舞台作品「ありか」、走行中の鉄道車両内、そしてYCAMの地下／VR空間でのラップとタブラの即興演奏「Boombox TRIP in TRAIN/YCAM」、さらに徳井率いるQosmoによる人工知能（AI）と人間のBack to Back「AIDJ vs HumanDJ」の成果を踏まえ、音楽における人の創造性、触れ合う場、テクノロジー、それぞれの可能性をYCAMのスタッフとともに探ります。*Back to Back：交互に一曲ずつかけあうDJスタイル

Profile

• 徳井直生

  株式会社Qosmo代表取締役

  東京大学工学系研究科博士課程修了。工学博士。在学中から人工知能に基づいた音楽表現とユーザ・インタフェースの研究に従事するとともに、DJ／プロデューサとして活動。ソニーコンピュータサイエンス研究所パリ客員研究員などを経て、2009年にQosmoを設立。2015年には人工知能DJ イベント「2045」をスタート。近作としては、AIを用いたBrian Enoのミュージックビデオの制作など。

• 環ROY

  ラッパー/音楽家

  1981年宮城県生まれ。これまでに5枚のCDアルバムを発表し、国内外の様々な音楽祭へ出演する。近年は、パフォーマンス作品『ありか』愛知県芸術劇場（2016）、インスタレーション作品『Types』寺田倉庫 T-Art Gallery（2015）、映画『アズミ・ハルコは行方不明』劇伴音楽（2016）、NHK教育『デザインあ』コーナー音楽（2016）などの制作を行う。

生成するアーカイブ―三上晴子作品を例に

YCAMは、2016年からアーティストの故・三上晴子のインスタレーション作品「欲望のコード」の修復をおこなっており、現在は「Eye-Tracking Informatics」の修復を進めています。このセッションでは、これらの修復作業のプロセスとともに、ここで試みている将来的な作品のアップデートの可能性も視野に入れた修復と、それに基づくアーカイブの新しいあり方についてご紹介します。

Profile

• 久保田晃弘

  アーティスト/研究者

  1960年生まれ。多摩美術大学情報デザイン学科メディア芸術コース教授／メディアセンター所長。芸術衛星1号機の「ARTSAT1: INVADER」でアルス・エレクトロニカ2015 ハイブリッド・アート部門優秀賞をチーム受賞。「ARTSATプロジェクト」の成果で、第66回芸術選奨の文部科学大臣賞（メディア芸術部門）。近著に「遙かなる他者のためのデザインー久保田晃弘の思索と実装」（BNN新社, 2017）がある。SIAF2017に、SIAFラボと共同の《Sculpture to be Seen from Space, Improvisation to be Heard from Space. 宇宙から見える彫刻、宇宙から聞こえる即興演奏》プロジェクトで参加した。

• 馬定延

  映像メディア学

  1980年ソウル（韓国）生まれ。東京藝術大学大学院映像研究科修了（映像メディア学博士）。主要業績に、著書『日本メディアアート史』(2014)、国際シンポジウム「メディアと芸術のあいだ：ヤシャ・ライハートの1960年代『展覧会』を読み解く」(2015)共同企画、SeMA Biennale Mediacity Seoul 2016参加など。現在、多摩美術大学JSPS外国人特別研究員、国立新美術館客員研究員、韓国『月刊美術』東京通信員。

YCAM探検ツアー

展覧会やパフォーミングアーツの公演など、YCAMで開催されるイベントの多くはYCAMオリジナルのものです。一体YCAMの裏側ではどんなことが起こっているのでしょうか？「YCAMの工場」とも言えるバックヤードを探検するツアーを開催します。

• 12月15日[金] 16:00-16:30
• 12月16日[土] 14:00-14:30
• 12月16日[土] 15:30-16:00
• 12月17日[日] 14:00-14:30
• 12月17日[日] 15:30-16:00