■オープニングシンポジウム 講師・パネリストプロフィール


 

藤島政博 Masahiro Fujishima/山口大学時間学研究所長 理学部教授
1950年生まれ。約21億年前にミトコンドリアや葉緑体を生み出し、真核細胞の進化に寄与してきた細胞内共生は、現在でも繰り返しておこなわれ、宿主細胞に新たな構造と機能を与えて細胞の進化と多様な環境への適応力獲得の原動力となっている。細胞内共生の研究は、真核細胞の起原と進化のルーツの解明に役立ってきたが、細胞内共生がどのようにして成立するかは明らかではない。私は寄生から共生への過渡期にある細胞を研究材料に使って、細胞内共生の成立条件を分子レベルで明らかにする研究をおこなっている。任意の組み合せで細胞内共生を成立させる技術開発を目指している。

 

一川 誠 Makoto Ichikawa/山口大学時間学研究所 理学部助教授
1965年生まれ。専門は実験心理学。実験的手法を用いて人間の知覚認知過程や感性の特性についての研究。現在は特に視覚や聴覚に対して与えられた時空間情報の知覚認知処理の特性の検討をおこなっている。人間に体験される時間や空間の特性とはどのようなものであるのか、人間にとって直接的に触れることのできる時空間とはどのようなものであるのか、5〜6年後にはこうした問いにより明確な答えを得たいと考えている。主な著書に『知覚の可塑性と行動適応』(ブレーン出版)[共著]がある。

 

井上愼一 Shin-Ichi T. Inoue/山口大学時間学研究所前所長 理学部教授
1945年生まれ。研究室でネズミの神経細胞の活動を記録したり、タンパクや遺伝子の量をはかったりして、30年も過ごしてきた。脳の中にある生物時計の研究が自分のテーマ。生物時計が視交叉上核という名前の場所にあることが発見されたときに、自分も端の方で立ち会えたことを誇りにしている。山口大学へ移ってからは、林原フォーラム「時間と時」の企画や時間学研究所の設立に携わる。

 

中村彰冶 Shoji Nakamura/山口大学時間学研究所 医学部教授
1947年生まれ。山口大学医学部卒業。大阪大学医学研究科単位習得退学。大阪大学医学部助手、金沢大学医学部助教授、山口大学医学部生理学第二講座教授を経て現職。医学部卒業以来30年以上にわたって、精神疾患及び精神の解明を目指して脳の基礎的研究を続けている。特に、ストレスによって起こる脳の形態的・生理的変化に注目している。現在、うつ病や統合失調症は、発達期の脳障害に由来するという考え方が有力である。私の研究室では、妊娠中のストレスによるラット胎仔の脳の変化と、ストレスを受けた胎仔が生まれて成熟した後の情動・学習行動との関連を研究している。趣味はテニスと読書。

 

脇條靖弘 Yasuhiro Wakijyo/山口大学時間学研究所 人文学部助教授
1961年生まれ。専門は古代ギリシア哲学で、これまでプラトンを中心に研究してきた。1998-9年に英国ケンブリッジに滞在した時に「所属させてもらった」ダーウィン・カレッジに、たまたま時間の哲学の分野で著名なH.メラー教授がいたことから刺激を受けた。2004年4月より時間学研究所基礎論グループの世話役を引き継ぐことになり、今後はアリストテレスの時間論を手始めに、時間の哲学に積極的に手を出そうと考えている。

 

 

港 千尋 Chihiro Minato/写真家
1960年生まれ。多摩美術大学美術学部教授。早稲田大学政治経済学部在学中に、南米に長期滞在。1985年より、パリを拠点に写真家・批評家としての活動を開始する。記憶、映像等を大きなテーマとし、写真集、評論集を多数刊行。2002〜2003年度、オクスフォード大学とパリ大学で客員研究員を務める。アジア各地の映像作家やアーティストを日本に紹介する展覧会を開催するなど、キュレーターとしての顔も持つ。主な著書に『群衆論』『考える皮膚』『明日、広場で』『注視者の日記』『記憶』『映像論』『洞窟論』など。2005年2月『影絵の戦い』(岩波書店)を上梓。

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