「〈時間の知覚〉研究室」ワークショップは、山口大学工学部で実験心理学を研究している一川 誠先生と研究室の学生を招いて、5/21と6/5の2回にわたって行いました。
実験心理学とは、実験的方法をもちいて、人間の感覚、知覚、記憶、学習、認知などを対象に研究を行う心理学の一分野で、このワークショップでは、大学で実際に行われている「時間」に関係する2つの実験を参加者が体験します。
参加したのは下は9才から上は69才まで、幅広い年齢層の方達が集まりました。
まず全員で簡単な自己紹介をしたあと、一川先生より大学での研究の内容や、本日のワークショップで行う実験についてのお話しです。
時計の時間は誰にとっても同じように流れていますが、そうした物理的な時間と、心にとっての時間はどう違っているのか。また、心の時間はどのような特徴を持っているのか。といった研究をしており、この分野は比較的新しいもので、まだまだ解明されていない事が多いなど、普段なかなか知る事のできない大学での研究の内容を分かりやすく話してくれました。
実験1「線運動錯視」
わたしたちはものを見る時、目で感じた光の信号が脳に伝わって処理されてはじめて「見えた」と感じます。そのとき脳ではどのような処理がおこなわれているのでしょうか。
この実験では、まず画面の左端に小さな円が出ます。その円が消えると画面中央に長い横線が表示されます。どちらの画像も実際は静止画で表示されているのですが、この画像をすばやく連続で見た場合、あとから表示される横棒が、始めに表示された円の方から描かれているように見えるのです。
ほんの一瞬の現象ですが、どうしてこのような事が起こるのかはっきりとした理由はまだわかっていないそうです。
この他にもはじめの小さな円が両側に出るもの、横棒が短くなったり波線や円になったもの、矢印や人間が握手しているシルエットのような意味のある絵など、様々なバリエーションの画像を見て、参加者同士がお互いにどのように見えたかを話し合っていました。
あるひとにとっては波線が波を打って出てくるように見えても、別のひとには波打たずにさーっと出てくるように見えたり、見る人によって現象の見え方が違うこともわかりました。
こんな現象がある事がわかったところで、皆で新しい形を考えてみました。
ぐるぐるの渦巻きがでてくるものや、向き合った人がお互いへ向けてビームのようなものを発射しているように見えるような形、野球のバットに当たったボールが飛んでいくように見える形など、面白いものが色々出来ました。
映像による錯視は新しい研究分野なので、今でも新しい錯視はどんどん発見されていて、今回提出されたアイデアの中にも、新しい錯視のヒントが隠されているかもしれないということでした。
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