「〈時間の知覚〉研究室」ワークショップ

講師:一川 誠(山口大学工学部助教授)、一川研究室
日時:2005年5月21日(土)・6月5日(日)
   14:00〜16:00
参加者:11名・17名
対象:小学校4年生以上

実験2「3D迷路」

パソコンの3D空間の中をマウスで移動して、スタートからゴールまでに自分が感じた時間の経過と、実際の時間の経過をくらべてみます。
時間の感じ方は年齢や心理状態によって変化するそうです。ここでは、なにも音を聞かない状態の場合、ゆったりとした音楽を聴きながらの場合、いそがしい音楽を聴きながらの場合と、3つの状態で実験します。

はじめはマウスの操作にとまどっていても、何度か練習をしてから真剣に取り組んでいると時間がわからなくなってきてしまうようで、自分の思っていた時間と実際の時間との差に、参加者のあいだからはおどろきの声があがっていました。

 

ガイドツアー

二つの実験がおわったところで「時間旅行」展で一川先生がサイエンティフィック・アドバイザーとしてに関わっている作品のガイドツアーをしていただきました。
「聴覚による錯時間ー光ったのは何回?」は、聴覚よりも視覚の方が脳で処理される時間が遅いため、人間が光と音の刺激を同時に受け取った場合、聴覚の情報を優先し、光が1回しか光っていなくても、音が2回鳴ると2回光ったように見えるという現象が体験できる作品で、参加者のみなさんは興味深そうにのぞき込んでいました。
「視覚における時間の錯覚ー見ているのは現実か?」は、ワークショップの実験で行った線運動錯視や、同じ視覚でも、ものの色彩と形状では処理に要する時間が同じではないことなど、様々な視覚と時間の関係を、作品を見ながら解説していただきました。
「無響空間」では参加者数人が作品に入ってみました。音の刺激も光の刺激もほとんどない空間で自分が感じている時間と実際の時間の差を感じる作品ですが、子どもは早めに、大人は遅く出てくる傾向があるそうです。

 

ワークショップまとめ

後は部屋にもどって3D迷路の実験結果を一川先生の解説を聞きながら見てみます。
実験では、3D迷路のスタートからゴールまでにかかった実際の時間と、心が感じた時間を記録し、その差の集計をとりました。
今回の参加者の結果では、ゆったりとした音楽を聴きながら実験した時にいちばんその差が大きく、子どもの方が大人よりもその差が少ないという結果になっていました。
また、心が感じた時間は、子どもは実際よりも長く感じ、大人は実際より短く感じていました。
この実験のデータは、今後の学校の研究に使われるということで、皆熱心に結果に見入っていました。

このワークショップでは、実験心理学という新しい分野の研究に触れ、体験しました。
また、普段はあまり深く考えることなく行っている「見る」「聴く」ということも、まだまだ未知の部分があり、一川先生達のような研究者がその謎にせまろうとしていることを知ることが出来ました。

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