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WORK

カールステン・ニコライ + マルコ・ペリハン
“polarm [ポーラーエム] ” 

新作/YCAM委嘱作品 Interactive Installation

放射線によって明らかになる、私たちと環境とのミクロかつマクロな関係性

展示空間に入ると、放射線や電磁波に関する複数のオブジェが、そしてその奥には底面7m四方・高さ4mの構造体が2つ置かれています。これらは、自律的なクリエーションシステムとして、私たちの身の回りに潜んでいる放射線や電磁波の存在を明らかにするとともに、放射線データの計測を通じて「電磁的な生態系」を描き出します。体験者はこの過程で起こる展示空間全体の変容を体感しながら、情報環境/地球環境への新たな眼差しを手に入れることになります。

放射線や電磁波に関するオブジェ—不可視の存在を可視化する

構造体の手前には、クラウドチェンバー(放射線可視化装置)、ガイガーカウンター(放射線計測装置)や 高周波電波受信器(電磁波計測装置)、砕石用ロボットアーム(放射線発生装置)、といった放射線や電磁波に関する観測オブジェが並べて置かれています。ガイガーカウンターと高周波電波受信器は、会場内の放射線や電磁波の状態を絶えず計測しており、この計測結果はクラウドチェンバー表面の様子とともに、互いにリンクされて情報処理されており、放射線や電磁波の特性を映像、音、光に変換し、後述の構造体内部の表現に影響を及ぼしています。

2つの構造体—相互対称性をもった不可分の存在

2つの構造体は左右対称に置かれており、一方は体験者が内部に入ることができますが、もう一方は半透明の斜幕によって四方が遮られ、内部に入ることができません。この作品では、前者を「A」、後者を前者の鏡像的な存在の「A’」としています。両者は常に均衡状態を探りながら、互いに存在しています。構造体内部に充満する映像と音響は、空間全体の放射線のランドスケープによって影響され、ダイナミックかつ精緻に構造体内部の空間を変容させます。なぜ同じに見える構造体が2つ並べられているのか、作家から体験者に投げかけられるこの問いが、本展の重要なテーマとなっています。

コンセプト/構造/システム:カールステン・ニコライ、マルコ・ペリハン
サウンドプログラミング/システムディスプレイ:nibo、カールステン・ニコライ
ロボット/センサーシステム:ダニー・バゾ (カリフォルニア大学サンタバーバラ校メディア・アーツ・アンド・テクノロジー)
ヴィジュアルプログラミング:ウェスリー・スミス (カリフォルニア大学サンタバーバラ校メディア・アーツ・アンド・テクノロジー)
アーキテクチャー/ハードウェア:ロブ・ファイゲル・オフィス、Vorschub、ZAVOD PROJEKT ATOL、C-Astral Ltd.
プロダクションサポート:ダニエル・クレム、nibo
キュレーター:四方幸子 (ゲストキュレーター) 、阿部一直 (YCAM)

Photo: Ryuichi Maruo (YCAM)

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