NHK教育番組「ピタゴラスイッチ」や、書籍「任意の点P」、「動け演算」といった活動で、広く一般にも知られている佐藤雅彦研究室が、時間旅行展の関連ワークショップを行うため、山口情報芸術センターにやってきました。
今回のワークショップのタイトルは「時間の積層」。時間をスライスして、積み重ねる。こういった操作によって、時間の生々しさが露見するようなアイデアと仕掛けを準備して、参加者である高校生に時間の不思議を探ってもらおう、という計画です。
この日行うワークショップでは、A,B,C,Dの4つのグループに分かれ、佐藤雅彦さんによるオリエンテーションに導かれて仮説を立てることから始めました。
A=時間の積層チーム:自由落下運動は本当に等加速度運動なのか?また、トンカチのように偏った重みのあるモノの自由落下も、どのように重力に支配されているのか?ということを調べます。
B=スリットによる表現チーム:スリット(細隙)を通して対象物を撮影すると、一つ一つは細長いこま切れに見えるが、それを並べて再構成すると、元の形がわかるようになるのか?ということを調べます。
C=スリットガンチーム:スリットを取り付けたカメラ=スリットガンで撮影した世界は通常の撮影を行ったときに見える映像とは違うのか?ということを調べます。
D=放物線の落下実験チーム:自由落下運動を表す二次曲線のグラフをプリントアウトしたものを落下させスリット撮影を行ったら、反対に、二次曲線は直線に見えるのか?また、等速回転運動を横から撮影してフリップブックを作ったらどうなるのか?ということを調べます。
実験演習の前に
ワークショップは、ビデオで撮影した一コマ一コマを印刷したり、ある物体の特定の点の運動に注目し、テレビ画面にシールを貼ったりしながら、時間の積層や軌跡を作成していくことで、時間という見えない概念が目の前に露見するのかどうかを検証していきます。それぞれの課題実験とその予測が発表され、慶應大学佐藤雅彦研究室の4人の学生メンバーがチューター役になってそれぞれのチームを率いていきます。ワークショップ開始前に参加者へ実験結果の予測を聞いてみると、「ぜんぜん予想がつきません」という答え。何はともあれ数時間後には結果がリアルに目の前に現れているはず。各チームごとにビデオの撮影ポイントへ移動していきました。