受賞作品/受賞者

「LIFE by MEDIA 国際コンペティション」の審査会が先日行われ、以下の3つのプロジェクトの受賞が決定しました。この度は国内外から多数の応募を頂きまして、誠にありがとうございました。7月に向けて、それぞれのプロジェクトが山口市内で動き始めます。全て地元の方々や参加者の皆さんを巻き込みながら、会期中かけてじっくり育っていくプロジェクトとなりそうです。山口にお越しの際は、皆様ぜひお立ち寄りください。

西尾美也「PUBROBE(パブローブ)」

「PUBROBE」は、 個人の服飾品を持ち寄って、 誰もが利用可能な公共の衣装ダンスを作りだす、ナイロビのマーケットから着想を得たプロジェクトです。服飾品のレンタルだけでなく、洗濯やお直し、陳列替えのワークショップも行われ、「服飾品」というメディアを通した活気あるコミュニケーションを目指します。

西尾美也(にしおよしなり) — 1982年奈良県生まれ。美術家。東京とナイロビを拠点に活動する。東京藝術大学大学院博士後期課程修了。博士(美術)。装いの行為とコミュニケーションの関係性に着目し、市民との協働によるプロジェクトを国内外で展開している。 2009年には西尾工作所ナイロビ支部を設け、アフリカでのオルタナティブなアートプロジェクトを開始。美術家として探究してきた装いに対する考察をもとに、2011年にはファッションブランド FORM ON WORDS を設立した。

深澤孝史「とくいの銀行 山口」

「とくいの銀行 山口」は地域住民の「とくいなこと」を無形の財産としてあずかり、貯めていきます。「とくい」をあずけた人は、銀行があずかっている誰かの「とくい」をどれでも引き出す(=つかう)ことができます。このようにお金の代わりに「とくい」を運用する銀行を立ち上げ、「とくい」をもとにさまざまな企画を立てながら運営するプロジェクトです。

深澤孝史(ふかさわたかふみ) — 美術家。1984年山梨県生まれ。中心市街地でさまざまな活動や場がしょうがいぶつとなるマラソンコースをつくる「しょうがいぶつマラソン2012」(2012 浜松)、非常時の危機的状況そのものを表現活動に翻訳する「非常美術倉庫」(2012 越後妻有)、通貨のかわりにとくいなことを交換できる銀行を運営する「とくいの銀行」(2011-取手)など様々な現場で日常やその世界の常識を再設定するプロジェクトを主に展開。趣味は鼻笛。

犬飼博士+安藤僚子「スポーツタイムマシン」

「スポーツタイムマシン」は、スクリーンに映し出される昔の記録と実際に「かけっこ」できる装置です。自分の記録だけではなく、家族や友達、動物の記録に挑戦することができます。毎回記録は記憶され更新されてゆきます。この装置でスポーツを通して、過去・現在・未来を横断した継続的な身体コミュニケーションを提供します。このタイムマシンをみんなで作り、長い期間大切に運営していくプロジェクトです。

犬飼博士(いぬかいひろし) — 1970年愛知県生まれ。ゲーム監督、eスポーツプロデューサー。映画監督山本政志に師事したのちゲーム監督に転身。人と人がつながるコミュニケーションツールとしてのビデオゲームにこだわり対戦型ゲームだけを制作。コンピュターゲームのオリンピックとも言えるWCGやCPLの日本予選を主催し世界大会に参加。近年はIT(ゲーム)とスポーツの間に生まれた情報社会のスポーツ「eスポーツ」や、空間情報科学をテーマとした展示「アナグラのうた 消えた博士と残された装置」(2011日本科学未来館)など、小さなビデオ画面だけに収まらないフィジカルな作品を制作している。

安藤僚子(あんどうりょうこ) — 1976年東京都生まれ山形育ち。インテリアデザイナー。ファッションや飲食のショップデザインを中心にエキシビションスペースの制作、ショップディスプレイ、ブランドのCI・VI、パッケージのディレクションなどをおこなう。ハンドメイドで遊び心のあるデザインを得意とし、インスタレーションの制作、D.I.Y.ワークショップ、和歌山のおばあさんと花を編んで販売する活動(ハナアミ)など、デザインやアイデアを生活に活かすための活動も行っている。