今日と明日、YCAMでは「Yamaguchi Mini Maker Faire(ヤマグチ・ミニ・メイカー・フェア)」が開催中。会議が行われているYCAMのアトリエの下では、大勢のMaker達が来館し、朝から設営作業が行われていました。会場には、3DプリンタやFablabといったMakerムーブメントの王道から、デコチャリ、コスプレ、手作りロボット、特殊メイク体験など、様々な出展者でごった返していて熱気に溢れています。
今回の開発者会議のホストであるYCAM InterLabもブースを出展。Reactor for Awareness in Motion (RAM) や、EyeWriter、Forest Symphonyなど、InterLabのプロジェクトで開発された様々な成果物が展示・実演されていました。
一方、openFramewors開発者会議のほうでは、黙々と開発が進んでいきます。昨日にチーム分けされた「Shaders」「Sound」「ofxAddons.com」「Typotraphy」という4つのワーキンググループで、検討項目を整理しながら作業を進めていきます。ここで開発された内容が次のバージョンのopenFramworksのコアに反映されていくはず。
誰から面白いデモを作成すると、周囲には人が集まり「すげー」と歓声が上がります。生まれた国は違えども、ギーク達はすぐにコードを通じて交流が生まれます。
この日が全員が揃うのが最後ということで、全員で集合写真の撮影。ポーズはもちろん「お約束」のoFハンドサイン。
そして、今回のYCAMでの開発者会議スペシャルバージョン「山口」のハンドサイン!!
午後は、Maker Faire会場で、openFrameworks開発チームによるプレゼンテーションが行われました。会場には多くの来場者が集まりopenFrameworksへの関心の高さが伺えます。
プレゼンテーション順に、写真で紹介します。まず、一番手は比嘉了さん。最近取り組んでいる、ダンサーとのコラボレーションについて。SonarSound Tokyo Festival 2013で披露されたダンスとコンピュータビジョンの融合したパフォーマンスや、そのシステムを Nosaj Thingの”Eclipse/Blue”のプロモーションビデオで使用した映像、さらには、カンヌライオンで披露されたPerfumeとのコラボレーションのパフォーマンス映像などが披露されました。
James Georgeさん。openFrameworksを使い始めたころのインタラクティブな作品、「SNIFF」や、市販のデジタルカメラとKinectを組み合わせたRGBD Toolkitによるドキュメンタリーフィルム「Clouds」、iPhoneを高い場所から落としてその落下時間が長ければ長いほどハイスコアになるというiPhoneアプリ「Freefall Highscore」などが紹介されました。
Arturo Castroさん。プリンターとコンピュータビジョンを組み合わせたゲームの紹介や、キャプチャーした顔のイメージをリアルタイムに別の顔と入れ替える「Faces」プロジェクトなどをプレゼン。
Cyril Diagneさん。彼の所属する研究スタジオ「LAB212」の紹介とそこで生み出された様々なプロジェクトが紹介されました。仮想の星空の中でブランコを漕ぐことができる美しいインタラクティブなインスタレーション「Starfield」や、3DプリンターとArduino制御のモーターを組み合わせそこにピコプロジェクターでプロジェクションマッピングする習作「3d print + motor + pico projection mapping」、湖の底をソナーで計測して見えない湖底をビジュアライズするプロジェクト「Bruits de fonds」などを紹介。
米田研一さん。水彩の滲みや線画による陰影のスケッチをアルゴリズムでリアルに再現し、絵を描く行為自体をアルリズムにして表現する様々なプロジェクトをを紹介。米田研一さんの作品は、Videmoのページで大量に観ることができます。
Lukasz Karlukさん。壁にプロジェクションさせた映像をコンピュータビジョンで解析して障害物をつくり出し、リアルタイムにクラシカルなゲーム「Snake」を街中で遊ぶことができる「Snake the planet」や、音楽に反応して複雑に変化する近日公開予定のiPadアプリを紹介。
Lauren McCarthyさん。コミュニケーションや人間関係をテクノロジーによって変容させたり、集合知によりハッキングする様々なアートプロジェクトを紹介。笑顔にしていないと痛みがはしる笑顔養成ギブス(?)「HAPPINESS HAT」や、カップルがコミュニケーションするために次にすべきことを指示する箱「CONVERSACUBE」、ソーシャルネットワークからの指示にしたがってデートしてみるプロジェクト「social turkers:crowdsourced dating」など様々なユニークな作品が紹介されました。
Chris Sugrueさん。ディスプレイの画面内の虫がその枠を越えてあたかも手の上に溢れでてくるようなインタラクティブなインスタレーション「Delicate Boundaries」、指の選択ではなく指と指の隙間の窪みに注目してインタラクションを行う作品「Base 8」、光を鏡で反射させて生成的な形態を映し出すインタラクティブな作品「Decrypted Reflections」などを紹介。
どのプレゼンテーションも内容の濃いすばらしいものでした。openFrameworksの開発者の多くが自分自身が表現者であり、作品で使用した技術のエッセンスをopenFrameworksのコアに還元することで、それを元にしたさらに優れた表現の下地になるという、表現のためのエコシステムが構築されているように思います。多く開発者達の知恵をうまく吸収して、次々と進化していく仕組みがopenFrameworksコミュニティーの素晴しさなのだと改めて気付かされるプレゼンテーションでした。
恒例の今日の食事コーナー。カレーうどん。和風のカレーが良い感じです。
posted by Atsushi Tadokoro