いよいよ山口入り ENSEMBLES展はまじまりま〜す
月曜から山口YCAMにはいってます。空気もうまいし、メシもうまい。もうしぶんない環境で、昨年から何度となく足を運び準備をしてきた展示『ENSRMBLES』の準備いよいよ佳境です。これからオープンまでの3週間、YCAMに篭城して作品にかかります。
なんて書くと威勢がいいですが、実際はその名のとおりわたし一人でやってるわけではなく、ちょうどバンドをやるように、みなでつくってます。わたしの役目はバンマスってところかな。実際に音を出すのは、今回で言えば音だけでなく展示物をつくったりプログラミングしていくのはわたしだけじゃななく、メンバーみんななのだ。今回は作品をつくるプロセスもバンドのようなやり方でいきたいと思っていて、オレが目指す作品に向けて、みなに手伝ってもらうってのではなく、作品がもってるある方向をもとに、みなでああでもない、こうでもないとリハをしながら曲をつくっていくような感じで、関わってるアーティストやスタッフみなで、あれやこれや意見を出し合いながらやっている。最初の案が遠い昔に思えるくらい、内容はいい意味でどんどん変化していってて、その最後の仕上げがこれからの3週間なのだ。さてさてどうなっていくのか、もう本当に楽しみ。
なにぶん今回は展示の数が多くて規模も大きい。7月5日にオープンする3つの展示だけでも、大変な時間と労力がかかるので、いくつかのわけて作業し、オープンも2回に分かれます。まず最初は、美術家の木村友紀、平川紀道、ベネディクト・ドリューといっしょにつくっている作品『quartets』、美術家の青山泰知とつくってる『without records』、そして音楽家のSachiko Mとつくっている『filaments』の3つか先にオープンする。これが第一期で『quartets』の展示は9月あたままで。2期オープンは8月23日で、今回の展示の中でももっとも大規模な『orchestras』がここから始まる。美術家高嶺格との共同作品で、こちらは10月13日まで。『without records』と『filaments』は連日微妙に形を変え続け、やはり10月13日の会期いっぱいまでつづく。ほかにもコンサートやイベントワークショップもあるのでぜひサイトのほう参照してほしい。オレ、ここで連載マンガも書いてます。http://special.ycam.jp/otomo/p>
すでに『filaments』8割がた完成したけれど、これはもうじっくり何時間でも滞在して聴ける作品になりそう。閉館後の巨大な図書館を利用した作品で、夕暮れから日が落ちて暗闇になるまで、ゆっくりとした時間の流れのなかで味わうことのできる素晴らしい作品です。写真一応そえておきますが、暗くて全然わからないよね。こればっかりは写真とか録音ではまったく伝わらないだろうなあ。現場に来ないでものかいてるような評論家の皆さん、きてくださいね。現場にこなきゃ本当にわからないものを僕らはいつも作ってるんですから。しかも作品の性格上、全ての出来事はランダムに起こるように仕組まれているので、会期中、一度として同じ空間、同じ音になることはありません。季節、日照時間、全てが作用しつつも、いわゆる近頃よくあるいい人ぶった似非エコみたいな感じでは全然ないのでご安心を。そこはSachiko Mのやってること、ちゃんといつもの厳しいFilamentの作品になっております。
『Quartets』のほうは、4月にこの作品の要になる即興演奏をするミュージシャン達のシルエットを木村友紀さんとやっていて、さらに、このシルエットを作品に変にかえていく根幹というか骨格とうか、そういう部分を担当してる若きアーティスト平川紀道が、すでに今月頭からYCAM入りしてかなりの作業をしていてくれました。これだけでもかなりの完成度の作品にすでになっています。あとはロンドンからくるベネディクトの到着をまっていよいよ大詰めです。シルエットと演奏で参加のミュージシャンは、カヒミ・カリィ、Sachiko M、マーティン・ブランドルマイヤー、石川高、アクセル・ドナー、ジム・オルーク、一楽儀光、そしてわたしの8名。この作品も会期中一度として同じ瞬間はありません。じっくりと何時間でも聴いていられる、やはり長期滞在型の作品になると思います。
さて、今日はこれから『without records』の青山泰知さんが仙台から到着します。さてさてこちらもどうなるか、とっても楽しみ。
写真はquartesのプログラム部分を製作中の平川くんと、あとはほとんどうつってないけれど『filaments』。どちらも暗くうつって見えますが、作品そのものはくら〜いものでは決してありませんので、ご安心を。