without records YCAMバーション

ども、大友本人でーす。
山口に来て12日目。YCAM『ENSEMBLES』展、第一期オープニングに向けて、急ピッチで作業すすんでいまーす。
今日は沢山のボランティアスタッフ達とつくってる『without records』の話を。

『without records』もともとは2005年、京都のshinbiギャラリーで、わずか20台のターンテーブルではじまりました。このときはほとんどの作業はわたしひとり。で制御部分に関しては音響美術家の吹田哲次郎さんとキュピキュピの江村耕市さんに手伝ってもらいました。
これをもとに飛躍的に進化させたのが、美術家青山泰知さんと組んだのが2007年の仙台メディアテークの66台のバージョンです。このときの様子はyoutubeで「without records」で検索すると見れます。
今回のここYCAMバージョンは、それをはるかに越えたもになりそうです。単に台数が120台になったというだけのことではなく、YCAMのテクニシャン伊藤隆之の手により制御の機構も大幅にアップしてオーケストレーションともいえそうな緻密なコンポジションを実現しつつあって、さらに、それにあわせるかのように、青山さんのアートデレクションもさえわたっております。今回あらたに導入したスタンドや、照明、複雑な配線等々、すべてはYCAMスタッフ総動員のたまものです。こうして少しづつ形になる展示を見ながら、音を出しながら、自分でもうれしくて、面白くて連日ドキドキしてます。

が、しかし、なによりも今回すごいのは、言葉を失うくらい濃い30名を越えるボランティアメンバー達の活躍です。何が濃いって、なんというか、あまりにも個性的。え〜と、どう個性的かは、ちょっと一言では書けない感じですが、ってか、とてもオオヤケには書けないくらいのものすごさですが、いや〜、世の中にはいろんな人たちがいてびっくりっす。みなさん、安心してください。相当個性的でも、世の中大丈夫。何かを誰かと一緒につくろうって意思さえあれば、本当にどんだけ個性的でも、どんだけ普段実社会で浮いていようと大丈夫・・・なんて書いたら怒られるかな。おまけに、みんな毎日深夜まで怒涛の勢いで楽しく打ち上がってるし・・・。その上YCAMの某山城さん(仮名)がどっかんどっかんあおりまくるし。打ち上げ好きのオレが、まるっきりついてけないくらいですから。

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青山さん
photo: Otomo Yoshihide

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伊藤さん(YCAM)
photo: Otomo Yoshihide

まあ、そんな部分はともかく、彼等が加工した百数十台のターンテーブルが、その濃い個性を反映してか、どれも実に面白い。本当に個性的な素晴らしい音をだしております。それだけでも、十分成り立つくらい。でも、それらが漠然と音を出すわけではなく、YCAMならではのシステムを使って、2度と同じ瞬間のないオーケストレーションをこれから3ヵ月半の間、奏でます。このへんはぜひぜひ、実際に現場で体験してください。仙台バージョンとの大きな違いは、個々のターンテーブルの個性とともに、この進化したコンポジションにあります。

オープンまであとわずか数日。ほかにも『quartets』や『filaments』の作業も同時進行で着々とすすんでおります。このへんについてはまた後日書きます。たくさんのメンバー達と、アンサンブルズのタイトルのとおり、従来の展示とは一味ことなる独特の共同作業をするなかで生れつつある作品、ぜひぜひお楽しみに。

写真はいずれも『without records』展示準備中のYCAMホワイエにて。左から青山泰知、伊藤隆之、そしてめっちゃ濃いボランティアメンバーやYCAMスタッフ達(なぜか一楽さんや平川くんの姿も)。みんなものすごくいい顔してます。この感じが、きっと作品に反映されてくることでしょう。いいものになりそう!


ボランティアメンバー photo: Ryuichi Maruo

Filed under: 大友ブログ — otomoycam 2:33 PM  Comments (0)

第4回 アンサンブルくん

Filed under: 連載 アンサンブルくん — otomoycam 6:29 PM  Comments (0)

ワークショップ2日目


改造したプレイヤー


大友さん、真剣にチェック中

参加者のみなさんは早くも打ち解けて、とても楽しそうな雰囲気。会場からは、話し声とともに1日目よりも大きな音が鳴り響きます。目の前のプレイヤーの音に集中し、自分なりに変化をさせていくその様子は、まさに各々の楽器をつくっているようです。
気に入った音ができたら、大友さんや青山さん、ほかの参加者に聴いてもらい、ビジュアルや音についての意見をききます。
そうした過程を経て、満足いく楽器へと仕上がると「○○(参加者の名前)1(制作した順)号」と命名され、プレイヤーの展示準備が整います。参加者の音/楽器へと変化した100通りの中古のポータブルレコードプレイヤーの音色が、会場でどんなアンサンブルを生み出すのか、もう本当にわくわくします。

(下記、もちろんここで文字にして書くのは不可能な音なんですが、想像の材料にしてください。)
「シューン、シューン、ガ、キューン」
「サ〜〜〜〜〜シュルルル、サ〜〜〜」
「シーーーーーーシュシュシュシュー」
「パヒュー〜〜*◉_◉/**×□□×○×ー」
というのが、100台並ぶんです!

…明日は、プレイヤーを会場へと配置します。

Filed under: From YCAM — otomoycam 9:36 PM  Comments (0)

第3回 アンサンブルくん

Filed under: 連載 アンサンブルくん — otomoycam 10:09 PM  Comments (0)

ワークショップ1日目

本日より10日にわたるワークショップがスタート。
ポータブルレコードプレイヤー100台を設置する大規模なインスタレーション「without records」を制作するべく、約30名の参加者が全国から集まりました。本作品の作家である大友良英さんと青山泰知さんを講師に、レコードプレイヤーの改造が始まりました。


制作風景
制作風景

中古のポータブルレコードプレイヤーの電源をONにし、ターンテーブルに針をおく…。
レコードを置くことなく、これだけでひとつひとつ違った音を奏でます。参加者は、針金や砕いたレコード、プラスチックの板などを思いおもいの場所に配置し、自らの手でプレイヤーの音を演奏していきます。最初はわかりにくい制作のコツも、プレイヤーから発せられる音に耳を傾けることによって、参加者それぞれが自身のポイントをつかんでいくようです。

Filed under: From YCAM — otomoycam 8:40 PM  Comments (0)

いよいよ山口入り ENSEMBLES展はまじまりま〜す

大友良英のJAMJAM日記より

月曜から山口YCAMにはいってます。空気もうまいし、メシもうまい。もうしぶんない環境で、昨年から何度となく足を運び準備をしてきた展示『ENSRMBLES』の準備いよいよ佳境です。これからオープンまでの3週間、YCAMに篭城して作品にかかります。

なんて書くと威勢がいいですが、実際はその名のとおりわたし一人でやってるわけではなく、ちょうどバンドをやるように、みなでつくってます。わたしの役目はバンマスってところかな。実際に音を出すのは、今回で言えば音だけでなく展示物をつくったりプログラミングしていくのはわたしだけじゃななく、メンバーみんななのだ。今回は作品をつくるプロセスもバンドのようなやり方でいきたいと思っていて、オレが目指す作品に向けて、みなに手伝ってもらうってのではなく、作品がもってるある方向をもとに、みなでああでもない、こうでもないとリハをしながら曲をつくっていくような感じで、関わってるアーティストやスタッフみなで、あれやこれや意見を出し合いながらやっている。最初の案が遠い昔に思えるくらい、内容はいい意味でどんどん変化していってて、その最後の仕上げがこれからの3週間なのだ。さてさてどうなっていくのか、もう本当に楽しみ。

なにぶん今回は展示の数が多くて規模も大きい。7月5日にオープンする3つの展示だけでも、大変な時間と労力がかかるので、いくつかのわけて作業し、オープンも2回に分かれます。まず最初は、美術家の木村友紀、平川紀道、ベネディクト・ドリューといっしょにつくっている作品『quartets』、美術家の青山泰知とつくってる『without records』、そして音楽家のSachiko Mとつくっている『filaments』の3つか先にオープンする。これが第一期で『quartets』の展示は9月あたままで。2期オープンは8月23日で、今回の展示の中でももっとも大規模な『orchestras』がここから始まる。美術家高嶺格との共同作品で、こちらは10月13日まで。『without records』と『filaments』は連日微妙に形を変え続け、やはり10月13日の会期いっぱいまでつづく。ほかにもコンサートやイベントワークショップもあるのでぜひサイトのほう参照してほしい。オレ、ここで連載マンガも書いてます。../../

すでに『filaments』8割がた完成したけれど、これはもうじっくり何時間でも滞在して聴ける作品になりそう。閉館後の巨大な図書館を利用した作品で、夕暮れから日が落ちて暗闇になるまで、ゆっくりとした時間の流れのなかで味わうことのできる素晴らしい作品です。写真一応そえておきますが、暗くて全然わからないよね。こればっかりは写真とか録音ではまったく伝わらないだろうなあ。現場に来ないでものかいてるような評論家の皆さん、きてくださいね。現場にこなきゃ本当にわからないものを僕らはいつも作ってるんですから。しかも作品の性格上、全ての出来事はランダムに起こるように仕組まれているので、会期中、一度として同じ空間、同じ音になることはありません。季節、日照時間、全てが作用しつつも、いわゆる近頃よくあるいい人ぶった似非エコみたいな感じでは全然ないのでご安心を。そこはSachiko Mのやってること、ちゃんといつもの厳しいFilamentの作品になっております。
『Quartets』のほうは、4月にこの作品の要になる即興演奏をするミュージシャン達のシルエットを木村友紀さんとやっていて、さらに、このシルエットを作品に変にかえていく根幹というか骨格とうか、そういう部分を担当してる若きアーティスト平川紀道が、すでに今月頭からYCAM入りしてかなりの作業をしていてくれました。これだけでもかなりの完成度の作品にすでになっています。あとはロンドンからくるベネディクトの到着をまっていよいよ大詰めです。シルエットと演奏で参加のミュージシャンは、カヒミ・カリィ、Sachiko M、マーティン・ブランドルマイヤー、石川高、アクセル・ドナー、ジム・オルーク、一楽儀光、そしてわたしの8名。この作品も会期中一度として同じ瞬間はありません。じっくりと何時間でも聴いていられる、やはり長期滞在型の作品になると思います。

さて、今日はこれから『without records』の青山泰知さんが仙台から到着します。さてさてこちらもどうなるか、とっても楽しみ。

写真はquartesのプログラム部分を製作中の平川くんと、あとはほとんどうつってないけれど『filaments』。どちらも暗くうつって見えますが、作品そのものはくら〜いものでは決してありませんので、ご安心を。

Filed under: 大友ブログ — otomoycam 10:02 PM  Comments (0)

第2回 アンサンブルくん

Filed under: 連載 アンサンブルくん — otomoycam 6:12 PM  Comments (0)

第1回 アンサンブルくん

現在、制作ボランティアや機材・楽器を募集中。
詳細はこちら
その募集告知をするべく、大友さんが処女作となる漫画を制作!

Filed under: 連載 アンサンブルくん — otomoycam 6:25 PM  Comments (0)

「大友良英 / ENSEMBLES」

YCAM5周年記念事業、第一段となる展覧会「大友良英 / ENSEMBLES」。
YCAM全館をつかい、新作を含む4つのインスタレーション作品を展示するほか、たくさんのアーティストが参加するライブを3回にわたって開催します。
さらに、アーティストがYCAMに滞在して作品制作に取り組む “滞在制作” や一般の参加者とともに作品を制作するワークショップなども展開されます。

このブログでは、たくさんのアーティストや様々なイベントやが集まるこの展覧会の魅力をお伝えしていきます。

Filed under: From YCAM — otomoycam 6:21 PM  Comments (0)