スターダスト

大友です。
ENSEMBLES展無事終了しました。
今回来てくださったみなさん、参加してくださったみなさん、YCAMのみなさん、
アーティストやボランティアスタッフ、サポートスタッフのみなさん、
本当に、本当にありがとう。

でも、でも、ものすごくさびしい。
ほんとさびしい。
またやりたいなあ。
またやりたいです!

11日YCAMをあとにするのは本当につらかった。泣きました。
ひとりで本当に泣いてしまいました。山口の街中を自転車で
はしりながらみっともないくらい泣いてしまいました。
終わりがこんなきもちになるなんて予想もしてなかった。
もう、いったいどういう感情なのか自分でもよくわからないっす。
なぜか頭の中に、ドルフィーの演奏する『テンダリー』のメロディがリフレインして、
でも景色は午前4時の山口市内で・・・。
地方都市の深夜に自転車で走りながら泣くなんて、あほな童貞高校生時代に
もどってしまったみたい。オレ青すぎ。でもまあ、こんな体験、経験、
そんなできるもんじゃないもんなあ。
自転車でYCAMに通った2008年の夏・・・もしかしたら、本当に
今までの人生の中でも一番素敵な時間だったのかもしれません。
とまあ、センチメンタルになってるだけではなく
この展示がなんであったのかを、しっかりと本にまとめる中で
「次」のことを考えていくつもりです。
「ENSEMBLES」の本は来年月曜社から出る予定。
頑張るぞ!

今回のENSEMBLES展での経験はわたしにとっては本当に宝物の
ようなものです。でもそれは単に作品が宝物ってだけじゃなくて、
ここまでにいたる何年かの時間と、6月から今日までの滞在制作の
中での経験、格闘、出会いのすべてが、もうかけがえのないものという
意味です。

願わくば作品に接してくださったみなさんにとっても、その経験が
かけがえのない宝物になりすことを。

最後にわたしの大好きな20世紀の名曲
orchestrasのラストに聴こえていてくるグロッケンのメロディ
「スターダスト」の歌詞をお贈りします。

スターダスト

そして今、夕暮れの紫の黄昏が
僕の心の草原にしのび込んでくる
小さな星が空高くのぼり
僕には消えることのない歌を残し
君は小道をさまよいながら遠ざかっていった
恋は今、過ぎ去った日々の星くずとなり
過ぎ去った歳月の歌となって

時々僕はある歌を夢に見て
何で孤独な夜を過ごすのだろうか?と不思議に思う
そのメロディーが夢の中に入ってきて
気が付くと僕はまた君ともう一度一緒にいる
僕達の恋が始まったばかりのころは
どのキスも、いつだって新しくて、いつだってときめかせてくれた
でも、今ではもう遠い昔のこと
今わたしの慰めは歌の星くずの中にある

庭園の壁にもたれ、星の輝きを浴びながら
君は僕の腕の中にいる
ナイチンゲールがおとぎ話を語っている
バラの花がいっぱいに咲く楽園のおとぎ話を
わたしの夢はむなしく終るけれども
この星くずのメロディーが
恋の調べの想い出が
心の中にいつまでもくりかえし響き続くことだろう

みなさんに心からの感謝をこめて
2008年10月14日 大友良英

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シンガポールから

大友です。
え〜と、実は山口YCAMの「ENSEMBLES展」ぜひ見てほしくて、ここでいろいろ書こうと思ってたんですが、全然書けない。何度もトライして書いてるんですが、全然まとまらない。どう書いてよいやら、途方にくれております。でも、本当に実際に見て体験してほしい。特に4作品のうち「quaratets」だけは9月23日で終了してしまうので、お時間ある人は、ぜひその前に。わたし自身も、これを逃すと、多分もう一生見れない・・・って思うと、なんとも言えないくらい切ない気持ちで、23日前にもう一回YCAMにいって数時間、じっくり見る予定。ほかの3作品は10月13日までやってるので、これもぜひぜひ。「without records」については、出たばかりの雑誌エクスポの宇川直宏 X 大友良英4万字対談で、宇川くんがものすごく熱く語ってくれてます。泣けるくらいうれしい感想です。4万字といっても、もちろん、そのうちの3万5千字は宇川くん→エクス・ポ5

それからSHIFT PEOPLEってwebマガジンに今回の展示についてのわたしのインタビューやら写真が出ています。ここはぜひぜひ読んでみてください。→SHIFT

あ、あとYCAMの作品少しですがyoutibeにアップされてます。でも、これ見ても、本当のところは伝わらないなあ。やっぱ生でぜひ体験してください。
→without records
→quartets


写真は今回の展示の中でオレが一番好きな写真。これMUSICSのライブの日に神戸の音遊びの会のメンバーの大生くんが「quartets」の中にはいってオレの影と遊んでいるときのもの。先日友人から来たメールにも「作り手だけのアンサンブルではなく 観てる側の魂も アンサンブルとして参加出来る 新しい作品だと思いました・・・」って書いてあって、こんな反応が本当にうれしい。タイトルのENSEMBLESが、素敵な広がりを持ち始めていることが本当にうれしい。










さて、YCAMから戻ったあとも、神奈川で新しいトリオの結成ライブをやったり、新潟でソロをやってあたらしい出会いがあったり、田中泯さんと2日間即興でライブをやったり、芳垣安洋のライブで懐かしい仲間に会ったり、ちょっとうれしい出会いがあったり、美術系のパーティのライブでやかましい客にめげず、これでもかってくらいの素晴らしいライブをやったり、世田谷美術館でインスタレーションのような演奏をしたり、そのあとジムたちと新宿で打ちあがったり、映画やテレビの音楽の打ちあわせやら、曲を何曲もつくったり、岩井主税の手によるオレのドキュメンタリーフィルムがいよいよ完成に近づき、最後の音のつめの作業をしていたら偶然スタジオで鈴木祥子さんに久々にあって、そのままその場にいた勝井くんや鬼怒くんと美味い中華を食べに行ったり、盟友菊地成孔との1年ぶりのDUOで、例によってライブでも打ち上げでも素敵な時間を過ごしたり・・・彼といると本当にいつも美味いもんにたどりつく、食べ物だけじゃなくて、いろいろな意味で。で、その足で成田空港にむかって、今はシンガポール。

ここシンガポールでは、今わたしが世界で一番好きなアーティスト、即興演奏家でシンガー、ダンサー、美術家でもあるZai Kuningのプロジェクト「book from hell」をEsplanadeという会場で9月17、18日に。東京からエンジニアの近藤祥昭を向かえ、6.1チャンネルの特殊システムを構築。今日リハをやってきたところですが、すごいです。素晴らしいです。山口以上に遠いですが、お時間あるかたはぜひぜひいらしてくださ〜い。これも自信作。ってか、YCAMの作品はどこかにもってくのそんな簡単じゃない・・・てかほぼ不可能だけど、こっちのほうは、来年にでも日本でやれるように動いてみよう。Zaiは人も音楽も作品も本当に魅力的。
→参考サイト

写真はZaiと、今回のプロジェクトにわたしとともに参加する香港のDickson Dee。



もうひとつ、下記の写真はYCAMの「orchestras」今回の展示中でも一番大きな規模で、かつ再現は不可能。今回を逃したら一生見ることできません。ぜひぜひ現場にいって体験してみてください。ちなみに、この作品の中でもZaiの歌と演奏がフューチャーされています。ほかにも二階堂和美、一楽儀光、中村達也、本田珠也、大島輝之、デビッド・グラブス、アネッタ・クレブス、一楽まどか、植村昌弘、近藤達郎・・・ほか沢山の演奏家がフューチャーされた上に、総計200名以上の方の音源が使われています。

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竜宮城より帰還

山口の竜宮城YCAMから半月ぶりに東京にもどってきました。
やらねばならないことが山積してるのは百も承知ですが、今日はもうな〜〜〜〜〜んにもしてません。ひたすら寝て、時々起きてはクレジーキャッツが出てるyoutubeを見まくって、またひたすら寝てます。

無事全作品オープンしたENSEMBLES展と、8月23日のオープニングライブのMUSICSについては、あらためて書きます。とにもかくにも、ご来場のみなさん、演奏してくださったみなさん、作品を作ってくださったみなさん、そしてYCAMのみなさん、本当にありがとうございました。

オープンしてみて初めて気付いたのですが、今回ひとつひとつの展示の素晴らしさもなることながら、こうして4つの展示がYCAMの大きな器のなかにあることで、それぞれが存在する意味を補完しあっているというか・・・・、う〜〜〜ん、え〜と補完ではないなあ・・・・、え〜〜、まだうまくまとまった言葉にはなりませんが、それぞれがかなり強いテンションをもってお互いを挑発しあっていて、それが結果的にはいい緊張感をもったアンサンブルになってるな・・・そんな感じがしています。

正直、ものすごい作品をつくったぞという自負もあります。でも、とても言葉では説明しきれない、実際に現場にいって接しないことにはなにも伝わらない作品ばかりです。ぜひぜひYCAMに見に行ってやってください。東京からの往復3〜4万円をかけてでも、実際に体験する価値アリ・・・と、今回だけは自信をもって大きな声で断言します。どの作品もコンサートひとつぶん、いやそれ以上のものを提出してると思っています。

もしかしたら、今回の作品群は今までの展示という概念や今まであった複製音楽の再生という概念を越えつつあるというか、それらを統合しつつ新しい別のレベルに踏み出した画期的な作品になってるのでは・・・という予感がしています。従来のサウンドインスタレーションでもないし、劇場作品でもない。美術なのかもしれないし音楽なのかもしれないけど、どうもそれだけでは説明できない。録音作品や映像作品の側面もあるけど、やはりそれだけではない。でも、今はこの仕事が、本当に面白い。いろいろな人を巻き込む・・・というのは、オレがずっとやってきたことだけど、やっと、ここに来て、そうそう、これこれ・・・という感触をつかみつつ沢山の人たちとアンサンブルを組めているような、そんな気がしています。この先の20年になるか30年になるかの残りの人生が、このENSEMBLESからはじまる・・・・なんだか大袈裟に聞こえるかもですが、そのくらいのことをした、しつつあると思っています。

しかし今回共演の高嶺格、強烈だったなあ。あんたはすごい! 本当に素晴らしい。彼のおかげで、オレかなりいろいろ見えてきたというか、よっしゃ、これだぞ・・・という感触得ました。そんなこともいずれここで書きます。

さ〜〜〜〜〜て、youtubeばっか見てる場合じゃない。明日からライブ。いつもの生活の戻るのだ。でも、もう以前のオレには多分もどれない。このさきどんな演奏をしてくんだろう。

写真 orchestras制作途中、songsの第一部YCAM前の芝生で演奏する飴屋法水、打ち上げでYCAM浴衣部隊に囲まれて人格崩壊のオレ、orchestras制作メンバーの高嶺格、小西小多郎、伊藤隆之、濱哲史。

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23日オープンに間に合うのか、大友!

という声もちらほらでてますが、スタッフともども不眠不休(正確には小眠不休)で制作にかかっております。絶対大丈夫! 気合! えい!


写真はorchestrasの心臓部分の鏡(といっても実際みてもらわないとなんのことやらですよね)の調整にかかる高嶺格と小西小多郎。200人もの人から録音した千数百ファイルを動かすシステムを7台のコンピュータを使って構築中の伊藤隆之と濱哲史。




右の写真は、今回新作になるHyper Without Record Playerを製作中の三原聡一郎。









23日オープニングのコンサートの準備も着々と。

第一部はなんと4時間にわたってYCAM全館、いたるところで、総勢100名近い人たちが演奏します。あるときは一緒に、あるときは完全にバラバラに。ONJOのメンバーもいれば、地元の小学生、神戸の音遊びの会のメンバー、京都のrewall、湯浅湾、牧野琢磨、小川紀美代、渡辺英貴、毛利悠子、五所純子・・・・・ほかにも多数。いったいだれがなにをやるのか、わたしもすべてを把握してるわけではありません。展示作品も並行して、上演しますので、もう、ゆるやかに、ほんとうに自由に、楽しんでください。こちらは入場無料です。

二部はorchestrasの展示されている巨大スペースのスタジオAでONJO+飴屋法水+宇野萬のセットです。こちらのほうは一部とはうってかわって閉鎖された空間の中に、巨大な円形に組まれた演奏家や舞踏家と、高嶺格わたしによる展示作品との共演になります。こちらは有料。

詳細はサイトのほうをぜひ!

二部のほうは会場に400人程度しか入れません。チケットのほう、どうかお早めに。油断してると、当日では入れなくなることもあるかもしれませんのでご注意ください。

8月23日のオープンで、展示作品4点がすべて見られるようになります。とはいえ、1期にオープンした「filamnets」と「without records」は多少の改変をへてますので、どちらもver2になります。ver1のほうは8月22日まで。それから「quartets」に関しては9月23日までになりますのでご注意を。それ以外の3作品は10月13日までひきつづきご覧になれます。

どの作品にも共通してるのは、じっくり最低でも40分以上、できれば1時間その場にいないと、全貌が中々みれない、聴けない仕組みになってることと、その上さらに会期中2度と同じシーンがないことです。このへんは僕等が普段やってる即興演奏の方法をそのまま展示に持ち込む・・・そんな風にイメージしてもらうとわかりやすいかもしれません。どれもがコンサートのような展示になってますので、こられる方はぜひゆっくり時間をかけて見てもらえるとうれしいです。特に23日のオープニングにこられる方は、この日だけだと、あまりに多くの人たちが錯綜して、純粋に展示作品だけを鑑賞するのはむずかしいかもしれません。翌日は、朝、早い時間からYCAMオープンしてますので、コンサートだけではなく、ぜひぜひ単独の作品にじっくり接してあげてください。

ENSEMBLESのタイトルどおり、今回展示の4作品、いずれも単にわたしの作品ってことではなく、名まえをあげきれないくらいの沢山の人々の手が加わる中で生まれた共同作品といってもいい作品です。会場にあるパネルには関わってくれた沢山の人たちの名前が刻まれていますが、単に名まえだけじゃなくて、作品そのものに、いろいろな人たちの汗が刻み込まれている作品です。このへんは来て、見てもらえればわかると思います。

日本で最大規模のメディアアートの牙城YCAMで、オレが一番やりたかったのは、しっかりと人の汗がしみついた作品をつくること・・・そんなふうに思ってます。野暮ったいこと言ってるかもしれませんが、そういうことが必要なんだって切実に思ってます。アカデミックでも、広告代理店の香りがするものでもなくて、自分自身のリアルな現実の中からの発想・・・という自分自身に課したテーマにどこまでせまれたか。せまれるのか。

オープンまでのこりの時間はあとわずか72時間。まだまだいけるはず。追い込めるだけ追い込むぞ!

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ENSEMBLES展第2期オープン間近! 焦ってなんかないぞ〜

ウソ。焦ってます。

今回最大規模の作品「orchestras」を前に、もう強烈に追われまくって作品つくってます。追われているのは単に時間だけじゃない。精神的に追い詰められながら、オノレの創作能力のすべてをかけて、作ってる感じ。そして、なにより、早くから山口入りし作業をしている高嶺格の仕事のあまりの素晴らしさに、追いまくられているのであります。

高嶺さん、ほんとすごい。現代美術界若手ナンバーワンなどという世間のレッテルなんて元々信用なんてしてないけど、それでも彼がそう言われるの、今はものすごくよくわかる。単に作品が素晴らしいだけじゃなくて、そのつくる姿勢に、オレはもうとことん感服しております。素晴らしい。

だかしかし、コラボレーターとしては感服ばっかしていても仕方ない。彼の仕事に正面から拮抗するような音を作ってこそのアンサンブルズなのだ。8月リスボンから帰国してからは、もう全力で、この巨大展示にいどんでおります。

いったいどんな展示かってのは、まあとにかく見てください・・・としか言えないのだけど、今書けることを書かせてもらうなら、上空には数百点の廃材、70チャンネルの学校放送用やら昔のステレオの家具調スピーカー、メガフォンから最高級のPAスピーカーまで、ありとあらゆるスピーカーたちもつるされていて、この70個のスピーカーからは、7台のコンピュータを使ってプロアマ200人以上の人から録音した1200ファイル以上の演奏や歌、声の音源が様々な仕組みで、あるときはランダムに、あるときはコンポーズされて流れる上に、簡単なロボットのような機械で吊るされている廃材もぶっ叩いて音を出す・・・・・・・ううううううう〜〜〜〜ん、自分でも何書いてるんだか、これじゃわlらね〜よって声が聞こえてきそうだ。

さらに高嶺流迷路というか、アングラ秘宝館かも・・・みたいな地下の部屋では、ギターが何台も大爆音でフィードバックしたり、ミラーボールがまわったり、おかしな楽器の部屋があったり、これまたプロアマ問わない100人以上の人たちの唄や演奏がワイヤレスのヘッドフォンから流れる仕組みで・・・・・うううううう〜〜〜〜〜ん、やっぱ何いってんだかさっぱりわからない。でも、このわからなさ加減のパワーと、莫大な未整理の情報量がこの作品の肝・・・ってかオレや高嶺さんそのものなのだ。

とにかくですね、そんなもんを高嶺さんや、もうおなじみのYCAMの強力スタッフ、サウンドテクニシャン伊藤隆之さん、西村悦子さん、舞台美術の宇野三津夫さん 岩田拓朗さん、大脇理智さん、照明の西田昌一さん 高原文江さん 金築浩史さん、三原聡一郎さん、そして高嶺組の重鎮小西小多郎さん、大友組の濱 哲史やらwithout recordsチーム・・・・ほかにもまだまだいるのですが、そういった人たちが束になって、昼夜ぶっとしで働いて滅茶苦茶やってくれているのです。

もう日記かいてるどころのさわぎじゃないんですが、一部で好評、大部分で不評の連載マンガのほうも、全然書けないし、でも、今回は打ち上げも自重して、でもってひたすら音に向かっております。ほんと、ほんと。今回ばかりは打ち上げはオープンあと。

いやね、日記はどうしたのだ・・・YCAMの仕事ちゃんとやってるのかってメールがちらほら来てるのだ。でもって今度の2期オープンのこと、もう少し説明してくれって要望も来てるのだ。でもって、書かねばならぬのも充分承知してるんですが、今は世界タイトルマッチを目前にした矢吹ジョーみたいなかんじなんす。ウソ・・・いや、ちょっとほんとかな、それともウルフ金串くらいかな・・・いや、うどん食うの我慢してるマンモス西くらいかも。

8月23日2期オープン、まじですごいことになりますよ。詳細は2日以内には書きます。

ちなみに1期オープンした「without records」は夏休みの子供攻撃にあって、惨憺たる状況だったのを、先日なつかしのボランティアスタッフが再集合してくれて、修復、それどころかヴァージョンアップしました。青山さん、ずたぼろになったプレイヤーたち、元気に動いてますよ。みんな青山さんのこと懐かしがってますよ〜。

ということで天才テクニシャン伊藤さんがものすごい目をして作業をしてる脇で、このブログ書いてます。そろそろ作業にもどります。まだまだ深いところにいくのだ。

写真は上空に吊るされる前の廃材を前に、自信満々狂気の笑顔の高嶺さん、つるされた廃材の背後で頭をひねる伊藤さん、そして、復活したwithout records ver2

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感謝、感謝、感謝!!!!

大友本人で〜〜す。ENSEMBLES無事オープンしました!
YCAMオープニングコンサートにきてくださったみなさん、本当にありがとうございました。チケット取れなかった一部のみなさん、ごめんなさい。特設の席をつくってもらったりして、なるべく入れるようにしたのですが、予想をはるかに超えて盛況でした。コンサートのほうは、もう言葉もないくらい満足。みな素晴らしい演奏でした。

展示作品もおかげさまで好評で、ほっとしております。本音を言えば、どの作品も、企画段階で想定したいたものをはるかに凌ぐ作品になっていて、自信と確信を持って、いいものが出来たとおもっております。単にいいものというだけじゃなく、僕等がYCAMのスタッフとみなでつくる一期一会の機会が作り出した、これまでに、まだどこにもなかったような、奇跡のような作品になってると、今はもしかして出来たばかりで気分がハイになってるだけかもしれませんが、でも、本当にそういうふうに思っています。すごい作品です。

今回は『ENSEMBLES』というタイトルが示すとおり、何人もの人たちが一体となって作り上げた作品で、わたし個人の仕事ではなく、完全な共同作品、音楽で言えばいくつものバンドが同時進行で作品をつくった感じです。それぞれの作品を言葉で説明すること、もちろん出来なくはありませんが、でも、なにより、ぜひぜひ現場に行って、実際の空間を体験してみてください。しかも出来ることなら長い時間、コンサートを見るように、作品に接してみてください。どの作品も、ゆったりとした時間の中で見るように出来ています。正確には、ある程度の時間つきあわないと、見えてこない、聴こえてこないように出来ています。そのぶん、聴こえてきたとき、見えてきたときの見え方、聴こえ方は、さらっと接したものとはまったく異なるものになるのではと思います。
わたしの希望を言ってしまえばそれぞれ最低でも40〜50分。本当ならコンサートを聴くように、1時間半でも2時間でも居てほしいなと思っております。

この先さらに高嶺格さんと『orchestras』という巨大作品を制作、これは8月23日に発表の予定で、この日にはONJOや飴屋法水さん、音遊びの会、宇野萬さんほか多数の演奏家が参加してのオープンコンサートもあるので、多分この日を目指して遠方から来る方多いと思います。そういう方にひとつだけアドバイスすると、出来ることなら、作品をじっくり見る日を前後にとっておいてください。23日は昼間から夜まで全館いたるこころで演奏がくりひろげられているので、個々の作品をじっくり見ることは不可能です。むしろYCAM全体が祝祭空間のようになっていて、それを楽しむ感じになると思います。

なので、たとえば前日に『quartets』『filaments』『without records』をじっくり見ていただいて、23日はオープンイベントを。で、翌日は『orchestras』と23日からバージョンの変わる『filaments2』をゆっくりみたいなかんじで。そうそうオオヤケにはアナウンスしていませんが、今やっているの『filaments』は8月22日までで、23日からはバージョンが変わり『filaments2』になります。『without records』も実は日々バージョンが変わっていくので、7月に見たものと8月、あるいは9月、10月では、多分、結構違うはずです。そいう意味での長いスパンの楽しみ方も可能です。

オープンコンサートのあとは、YCAMスタッフやボランティアチーム、出演のミュージシャンやアーティスト、そしてかけつけてくれた友人知人たちとみなで打ち上げ。今回展示準備期間中も何度となく打ち上げにいきましたが、この日の打ち上げは、わたしの人生の打ち上げ史上にのこるくらいの、オープニングコンサートの幸せな気持ちがそのまま続いているような素敵な打ち上げでした。このまま本当に山口に住みたいです。
翌日にはおもわず不動産屋を見てしまったくらい。もうYCAMに就職させてくださ〜〜〜い。

本当に感無量。YCAMのみなさん、アーティストやボランティアのみなさん、ココロから感謝しております。

とはいえ、ここで油断してはならず。まだ2期オープンに向けて高嶺さんとのorchestrasの制作がまっております。こちらも1期に負けないものにするべく、感張ります!


photo: Ryuichi Maruo

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吉報ふたつ

吉報、まずは、先日発売したばかりの本『MUSICS』、わずが1週間で重版になりました。われながらちょっと信じられない気持ちです。この手の音楽本としては異例の早さの売れ行きなのでは。なにぶん特殊音楽家の書いた特殊な本だと思われがちなせいか、一部の地域ではなかなか手にはいりにくいようですが、これで多少入手しやすくなるかもしれません。内容は、無論、特殊なものなどではなく、現場の実感をもとに、なるべくわかりやすいように注意して書いた文章です。この先、この本がどういうふうに読まれていくのか、そのフィードバックが自分にどう返ってくるのか、いまからとっても楽しみ。

ということで、初版本ほしい方は、お早めに。

そしてもうひとつの吉報。

山口YCAMでの展示作品『ENSEMBLES』、今日第一期分ほぼ完成しました。もう、最高にうれしい。言葉ではとても書けないくらいうれしいです。アンサンブルを組んでくれた共演のアーティストやミュージシャンのみなさん、YCAMのテクニシャンやスタッフのみなさん、ボランティアスタッフのみなさんには、本当にもうひとりひとりハグをしたくらい。みんなのおかげで素晴らしい作品ができました。山口に来てほぼ3週間、もうここにみんなと一緒にずっと住んでたいくらいうれしいです。YCAMにそのまま住んでしまいたくらいです。ああ、もうこのうれしさ、どう表現していいか、わかならないや。もうとりあえずは呑むぞ〜(下戸ですが

『without records』については先日書いたとおりで、青山泰知とボランティアスタッフ、YCAMスタッフの手によるまるでオーケストラのような作品に仕上がってします。仙台バージョンを見た人には、特に、その差異と進化のほどに驚くのではと思います。閉館後の図書館で見れる『filaments』もそうですが、5分とか10分さらっと見るようなタイプの作品ではなく、ゆっくりその場所にいて、集中するもよし、ただ風を感じるように、ゆったりといるもよし、そんな作品になっています。できることなら長い時間滞在してみてください。そうそう青山さんのリアルな気持ちも、彼のブログで読めます。そう、本当に楽しかったのだ。

もうひとつ、まだここにはほとんど書いていない『quartets』。この作品は、4月から木村友紀を中心に8人のミュージシャンの撮影と録音がはじまり、6月頭には平川紀道が一足先にYCAMに乗り込み、連日十数時間ほぼ休むことなく映像プログラムを実際の現場で組む作業を続け、ここにさらに6月後半には、ロンドンからベネディクト・ドリューが来日、壁面の映像の撮影作業にとりかかり、平川、木村、ベネディクト、そしてわたしの4人に加え特別参加の濱哲史、それにYCAMテクニシャンとスタッフ総出で総計8面の映像と8チャンネルの音を組む作業を続けてきました。で、昨日、やっとみなが満足行く到達点にまでいくことが出来ました。

ここに書いている文章だけだとちょっとわかりにくいかとは思いますが、従来のメディアアートとかサウンドインスタレーションから想像するようなものとは根本的に異なる作品です。正しくは、そうしたものの技術をふんだんに使っていはいますが、恐らく、これまで、そうしたものが目指していたものとは非常に異なる質を持った、しかし非常に完成度の高い作品です。驚くほど高度な方法で緻密につくられていますが、その一方で、即興演奏によるアンサンブルという本質から目をそらすことなく作られていて、本来なら共存しにくい両者が、強烈ないかたで共存しています。このへんは平川さんの独特の創作方法によるところが大きいのですが、詳細にはあえてふれずにおきます。とにかく現場でぜひぜひ体験してみてください。

『quratets』に限らず、『without records』にも『filaments』にも共通してるのは、支配することではなく、同期させるのでもなく、個々が、それぞれの個性のままどう空間をシェアしてアンサンブルを作ってくか・・・という点で、どの作品も長い会期を通じて、一度として同じ瞬間はありません。特に『quratets』はコンサートにように集中して長い時間聴いていただければ幸いです。それだけの緊張感と強度をもちつつも、その一方で、どこかで外に向かって扉の開いた作品でもあります。

オープンは7月5日。これをどう見てくれるのか、聴いてくれるのか、本当のアンサンブルはここからはじまります。山口、遠いし〜という声もちらほらですが、足はこぶだけの価値あるって、自信をもって思っています。8月23日には、これに加えさらにもうひとつ『orchestras』という作品もオープンします。夏休みを利用してぜひお出かけください。

7月5日にはオープンコンサートもあります。チケット残りわずかだそうです。こられる方はお早めに予約を。





写真は上から、
一ヶ月にわたって暗闇に篭って制作をつづけてほぼ完成にこぎつけた天才平川くんの安心しきった油断の笑顔














without recordsの中をあるくベネディクト・ドリュー
















撮影中の木村友紀















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without records YCAMバーション

ども、大友本人でーす。
山口に来て12日目。YCAM『ENSEMBLES』展、第一期オープニングに向けて、急ピッチで作業すすんでいまーす。
今日は沢山のボランティアスタッフ達とつくってる『without records』の話を。

『without records』もともとは2005年、京都のshinbiギャラリーで、わずか20台のターンテーブルではじまりました。このときはほとんどの作業はわたしひとり。で制御部分に関しては音響美術家の吹田哲次郎さんとキュピキュピの江村耕市さんに手伝ってもらいました。
これをもとに飛躍的に進化させたのが、美術家青山泰知さんと組んだのが2007年の仙台メディアテークの66台のバージョンです。このときの様子はyoutubeで「without records」で検索すると見れます。
今回のここYCAMバージョンは、それをはるかに越えたもになりそうです。単に台数が120台になったというだけのことではなく、YCAMのテクニシャン伊藤隆之の手により制御の機構も大幅にアップしてオーケストレーションともいえそうな緻密なコンポジションを実現しつつあって、さらに、それにあわせるかのように、青山さんのアートデレクションもさえわたっております。今回あらたに導入したスタンドや、照明、複雑な配線等々、すべてはYCAMスタッフ総動員のたまものです。こうして少しづつ形になる展示を見ながら、音を出しながら、自分でもうれしくて、面白くて連日ドキドキしてます。

が、しかし、なによりも今回すごいのは、言葉を失うくらい濃い30名を越えるボランティアメンバー達の活躍です。何が濃いって、なんというか、あまりにも個性的。え〜と、どう個性的かは、ちょっと一言では書けない感じですが、ってか、とてもオオヤケには書けないくらいのものすごさですが、いや〜、世の中にはいろんな人たちがいてびっくりっす。みなさん、安心してください。相当個性的でも、世の中大丈夫。何かを誰かと一緒につくろうって意思さえあれば、本当にどんだけ個性的でも、どんだけ普段実社会で浮いていようと大丈夫・・・なんて書いたら怒られるかな。おまけに、みんな毎日深夜まで怒涛の勢いで楽しく打ち上がってるし・・・。その上YCAMの某山城さん(仮名)がどっかんどっかんあおりまくるし。打ち上げ好きのオレが、まるっきりついてけないくらいですから。

aoyama_otomo
青山さん
photo: Otomo Yoshihide

itou_otomo
伊藤さん(YCAM)
photo: Otomo Yoshihide

まあ、そんな部分はともかく、彼等が加工した百数十台のターンテーブルが、その濃い個性を反映してか、どれも実に面白い。本当に個性的な素晴らしい音をだしております。それだけでも、十分成り立つくらい。でも、それらが漠然と音を出すわけではなく、YCAMならではのシステムを使って、2度と同じ瞬間のないオーケストレーションをこれから3ヵ月半の間、奏でます。このへんはぜひぜひ、実際に現場で体験してください。仙台バージョンとの大きな違いは、個々のターンテーブルの個性とともに、この進化したコンポジションにあります。

オープンまであとわずか数日。ほかにも『quartets』や『filaments』の作業も同時進行で着々とすすんでおります。このへんについてはまた後日書きます。たくさんのメンバー達と、アンサンブルズのタイトルのとおり、従来の展示とは一味ことなる独特の共同作業をするなかで生れつつある作品、ぜひぜひお楽しみに。

写真はいずれも『without records』展示準備中のYCAMホワイエにて。左から青山泰知、伊藤隆之、そしてめっちゃ濃いボランティアメンバーやYCAMスタッフ達(なぜか一楽さんや平川くんの姿も)。みんなものすごくいい顔してます。この感じが、きっと作品に反映されてくることでしょう。いいものになりそう!


ボランティアメンバー photo: Ryuichi Maruo

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いよいよ山口入り ENSEMBLES展はまじまりま〜す

大友良英のJAMJAM日記より

月曜から山口YCAMにはいってます。空気もうまいし、メシもうまい。もうしぶんない環境で、昨年から何度となく足を運び準備をしてきた展示『ENSRMBLES』の準備いよいよ佳境です。これからオープンまでの3週間、YCAMに篭城して作品にかかります。

なんて書くと威勢がいいですが、実際はその名のとおりわたし一人でやってるわけではなく、ちょうどバンドをやるように、みなでつくってます。わたしの役目はバンマスってところかな。実際に音を出すのは、今回で言えば音だけでなく展示物をつくったりプログラミングしていくのはわたしだけじゃななく、メンバーみんななのだ。今回は作品をつくるプロセスもバンドのようなやり方でいきたいと思っていて、オレが目指す作品に向けて、みなに手伝ってもらうってのではなく、作品がもってるある方向をもとに、みなでああでもない、こうでもないとリハをしながら曲をつくっていくような感じで、関わってるアーティストやスタッフみなで、あれやこれや意見を出し合いながらやっている。最初の案が遠い昔に思えるくらい、内容はいい意味でどんどん変化していってて、その最後の仕上げがこれからの3週間なのだ。さてさてどうなっていくのか、もう本当に楽しみ。

なにぶん今回は展示の数が多くて規模も大きい。7月5日にオープンする3つの展示だけでも、大変な時間と労力がかかるので、いくつかのわけて作業し、オープンも2回に分かれます。まず最初は、美術家の木村友紀、平川紀道、ベネディクト・ドリューといっしょにつくっている作品『quartets』、美術家の青山泰知とつくってる『without records』、そして音楽家のSachiko Mとつくっている『filaments』の3つか先にオープンする。これが第一期で『quartets』の展示は9月あたままで。2期オープンは8月23日で、今回の展示の中でももっとも大規模な『orchestras』がここから始まる。美術家高嶺格との共同作品で、こちらは10月13日まで。『without records』と『filaments』は連日微妙に形を変え続け、やはり10月13日の会期いっぱいまでつづく。ほかにもコンサートやイベントワークショップもあるのでぜひサイトのほう参照してほしい。オレ、ここで連載マンガも書いてます。../../

すでに『filaments』8割がた完成したけれど、これはもうじっくり何時間でも滞在して聴ける作品になりそう。閉館後の巨大な図書館を利用した作品で、夕暮れから日が落ちて暗闇になるまで、ゆっくりとした時間の流れのなかで味わうことのできる素晴らしい作品です。写真一応そえておきますが、暗くて全然わからないよね。こればっかりは写真とか録音ではまったく伝わらないだろうなあ。現場に来ないでものかいてるような評論家の皆さん、きてくださいね。現場にこなきゃ本当にわからないものを僕らはいつも作ってるんですから。しかも作品の性格上、全ての出来事はランダムに起こるように仕組まれているので、会期中、一度として同じ空間、同じ音になることはありません。季節、日照時間、全てが作用しつつも、いわゆる近頃よくあるいい人ぶった似非エコみたいな感じでは全然ないのでご安心を。そこはSachiko Mのやってること、ちゃんといつもの厳しいFilamentの作品になっております。
『Quartets』のほうは、4月にこの作品の要になる即興演奏をするミュージシャン達のシルエットを木村友紀さんとやっていて、さらに、このシルエットを作品に変にかえていく根幹というか骨格とうか、そういう部分を担当してる若きアーティスト平川紀道が、すでに今月頭からYCAM入りしてかなりの作業をしていてくれました。これだけでもかなりの完成度の作品にすでになっています。あとはロンドンからくるベネディクトの到着をまっていよいよ大詰めです。シルエットと演奏で参加のミュージシャンは、カヒミ・カリィ、Sachiko M、マーティン・ブランドルマイヤー、石川高、アクセル・ドナー、ジム・オルーク、一楽儀光、そしてわたしの8名。この作品も会期中一度として同じ瞬間はありません。じっくりと何時間でも聴いていられる、やはり長期滞在型の作品になると思います。

さて、今日はこれから『without records』の青山泰知さんが仙台から到着します。さてさてこちらもどうなるか、とっても楽しみ。

写真はquartesのプログラム部分を製作中の平川くんと、あとはほとんどうつってないけれど『filaments』。どちらも暗くうつって見えますが、作品そのものはくら〜いものでは決してありませんので、ご安心を。

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