竜宮城より帰還

山口の竜宮城YCAMから半月ぶりに東京にもどってきました。
やらねばならないことが山積してるのは百も承知ですが、今日はもうな〜〜〜〜〜んにもしてません。ひたすら寝て、時々起きてはクレジーキャッツが出てるyoutubeを見まくって、またひたすら寝てます。

無事全作品オープンしたENSEMBLES展と、8月23日のオープニングライブのMUSICSについては、あらためて書きます。とにもかくにも、ご来場のみなさん、演奏してくださったみなさん、作品を作ってくださったみなさん、そしてYCAMのみなさん、本当にありがとうございました。

オープンしてみて初めて気付いたのですが、今回ひとつひとつの展示の素晴らしさもなることながら、こうして4つの展示がYCAMの大きな器のなかにあることで、それぞれが存在する意味を補完しあっているというか・・・・、う〜〜〜ん、え〜と補完ではないなあ・・・・、え〜〜、まだうまくまとまった言葉にはなりませんが、それぞれがかなり強いテンションをもってお互いを挑発しあっていて、それが結果的にはいい緊張感をもったアンサンブルになってるな・・・そんな感じがしています。

正直、ものすごい作品をつくったぞという自負もあります。でも、とても言葉では説明しきれない、実際に現場にいって接しないことにはなにも伝わらない作品ばかりです。ぜひぜひYCAMに見に行ってやってください。東京からの往復3〜4万円をかけてでも、実際に体験する価値アリ・・・と、今回だけは自信をもって大きな声で断言します。どの作品もコンサートひとつぶん、いやそれ以上のものを提出してると思っています。

もしかしたら、今回の作品群は今までの展示という概念や今まであった複製音楽の再生という概念を越えつつあるというか、それらを統合しつつ新しい別のレベルに踏み出した画期的な作品になってるのでは・・・という予感がしています。従来のサウンドインスタレーションでもないし、劇場作品でもない。美術なのかもしれないし音楽なのかもしれないけど、どうもそれだけでは説明できない。録音作品や映像作品の側面もあるけど、やはりそれだけではない。でも、今はこの仕事が、本当に面白い。いろいろな人を巻き込む・・・というのは、オレがずっとやってきたことだけど、やっと、ここに来て、そうそう、これこれ・・・という感触をつかみつつ沢山の人たちとアンサンブルを組めているような、そんな気がしています。この先の20年になるか30年になるかの残りの人生が、このENSEMBLESからはじまる・・・・なんだか大袈裟に聞こえるかもですが、そのくらいのことをした、しつつあると思っています。

しかし今回共演の高嶺格、強烈だったなあ。あんたはすごい! 本当に素晴らしい。彼のおかげで、オレかなりいろいろ見えてきたというか、よっしゃ、これだぞ・・・という感触得ました。そんなこともいずれここで書きます。

さ〜〜〜〜〜て、youtubeばっか見てる場合じゃない。明日からライブ。いつもの生活の戻るのだ。でも、もう以前のオレには多分もどれない。このさきどんな演奏をしてくんだろう。

写真 orchestras制作途中、songsの第一部YCAM前の芝生で演奏する飴屋法水、打ち上げでYCAM浴衣部隊に囲まれて人格崩壊のオレ、orchestras制作メンバーの高嶺格、小西小多郎、伊藤隆之、濱哲史。

Filed under: 大友ブログ — otomoycam 5:26 AM  Comments (0)

「quartets」の会期を延長

現在開催中の「大友良英/ENSEMBLES」展にて公開中の作品「quartets」につきまして、7月5日(土)から9月15日(月・祝)まで開催とご案内していましたが、好評につき、9月23日(火・祝)まで会期を延長いたします。

そのため、8月23日(土)から9月23日(火・祝)までは、「大友良英/ENSEMBLES」展の全作品を同時にご覧いただけます。

さらに、今週末にはギャラリーツアーも開催いたします。
8月30日(土)14:00-14:45
8月31日(日)14:00-14:45

ぜひこの機会にYCAMにお越しください。

Filed under: From YCAM — otomoycam 10:28 AM  Comments (0)

ウィズアウトレコーズ ハイファイ ヴァージョン

ウィズアウトレコーズのハイパーヴァージョンとなって、本日より公開!!!

Filed under: 未分類 — otomoycam 1:59 AM  Comments (0)

8月23日(土)「Musics」2nd set 前売りチケット完売

LIVE-2:orchestras オープニングライブ 2nd setの前売りチケットが、たったいま完売となりました。
当日券についての案内は、当日10:00以降に、チケットインフォメーションまでお問い合わせください。

1st setについは、YCAM各所でチケットなし、無料で自由にご覧いただけます。
たくさんのアーティストがYCAMの館内至るところで演奏します!

出演
1st set: OTOMORCHESTRA
演奏:ONJO[大友良英、カヒミ・カリィ、大蔵雅彦、青木タイセイ、石川 高、Sachiko M、宇波 拓、高良久美子、水谷浩章、芳垣安洋、近藤祥昭]
高嶺 格、飴屋法水、サウンドワークショップ参加者、音遊びの会、rewall、小川紀美代、渡辺英貴、牧野琢磨、毛利悠子、五所純子、湯浅学、松島玉三郎 ほか多数

Filed under: 未分類 — otomoycam 3:18 PM  Comments (0)

23日オープンに間に合うのか、大友!

という声もちらほらでてますが、スタッフともども不眠不休(正確には小眠不休)で制作にかかっております。絶対大丈夫! 気合! えい!


写真はorchestrasの心臓部分の鏡(といっても実際みてもらわないとなんのことやらですよね)の調整にかかる高嶺格と小西小多郎。200人もの人から録音した千数百ファイルを動かすシステムを7台のコンピュータを使って構築中の伊藤隆之と濱哲史。




右の写真は、今回新作になるHyper Without Record Playerを製作中の三原聡一郎。









23日オープニングのコンサートの準備も着々と。

第一部はなんと4時間にわたってYCAM全館、いたるところで、総勢100名近い人たちが演奏します。あるときは一緒に、あるときは完全にバラバラに。ONJOのメンバーもいれば、地元の小学生、神戸の音遊びの会のメンバー、京都のrewall、湯浅湾、牧野琢磨、小川紀美代、渡辺英貴、毛利悠子、五所純子・・・・・ほかにも多数。いったいだれがなにをやるのか、わたしもすべてを把握してるわけではありません。展示作品も並行して、上演しますので、もう、ゆるやかに、ほんとうに自由に、楽しんでください。こちらは入場無料です。

二部はorchestrasの展示されている巨大スペースのスタジオAでONJO+飴屋法水+宇野萬のセットです。こちらのほうは一部とはうってかわって閉鎖された空間の中に、巨大な円形に組まれた演奏家や舞踏家と、高嶺格わたしによる展示作品との共演になります。こちらは有料。

詳細はサイトのほうをぜひ!

二部のほうは会場に400人程度しか入れません。チケットのほう、どうかお早めに。油断してると、当日では入れなくなることもあるかもしれませんのでご注意ください。

8月23日のオープンで、展示作品4点がすべて見られるようになります。とはいえ、1期にオープンした「filamnets」と「without records」は多少の改変をへてますので、どちらもver2になります。ver1のほうは8月22日まで。それから「quartets」に関しては9月23日までになりますのでご注意を。それ以外の3作品は10月13日までひきつづきご覧になれます。

どの作品にも共通してるのは、じっくり最低でも40分以上、できれば1時間その場にいないと、全貌が中々みれない、聴けない仕組みになってることと、その上さらに会期中2度と同じシーンがないことです。このへんは僕等が普段やってる即興演奏の方法をそのまま展示に持ち込む・・・そんな風にイメージしてもらうとわかりやすいかもしれません。どれもがコンサートのような展示になってますので、こられる方はぜひゆっくり時間をかけて見てもらえるとうれしいです。特に23日のオープニングにこられる方は、この日だけだと、あまりに多くの人たちが錯綜して、純粋に展示作品だけを鑑賞するのはむずかしいかもしれません。翌日は、朝、早い時間からYCAMオープンしてますので、コンサートだけではなく、ぜひぜひ単独の作品にじっくり接してあげてください。

ENSEMBLESのタイトルどおり、今回展示の4作品、いずれも単にわたしの作品ってことではなく、名まえをあげきれないくらいの沢山の人々の手が加わる中で生まれた共同作品といってもいい作品です。会場にあるパネルには関わってくれた沢山の人たちの名前が刻まれていますが、単に名まえだけじゃなくて、作品そのものに、いろいろな人たちの汗が刻み込まれている作品です。このへんは来て、見てもらえればわかると思います。

日本で最大規模のメディアアートの牙城YCAMで、オレが一番やりたかったのは、しっかりと人の汗がしみついた作品をつくること・・・そんなふうに思ってます。野暮ったいこと言ってるかもしれませんが、そういうことが必要なんだって切実に思ってます。アカデミックでも、広告代理店の香りがするものでもなくて、自分自身のリアルな現実の中からの発想・・・という自分自身に課したテーマにどこまでせまれたか。せまれるのか。

オープンまでのこりの時間はあとわずか72時間。まだまだいけるはず。追い込めるだけ追い込むぞ!

Filed under: 大友ブログ — otomoycam 11:45 PM  Comments (0)

ワークショップ「こどものための即興オーケストラ」レポート

8月17日(日)快晴

今日は関連イベントの「こどものための即興オーケストラ」ワークショップが市内の湯田小学校の音楽室でおこなわれました。

参加者は小学2年生から中学生までの約30名。受付に来た子どもたちからの顔からはいまから何が始まるんだろうとちょっぴり緊張している様子や、期待に胸ふくらませてワクワクしている様子がうかがえます。

ちょっとずつ参加者が集まり始めた音楽室は、クーラーがついているにも関わらず徐々に熱気がむんむん。

14:00からワークショップ開始。はじめに教育普及の鎌田さんがあいさつをして、それから大友さんにバトンタッチ。

「みんな音はどうやって出ているか知ってる?」と大友さんが質問。「知ってるー、振動が伝わるんだよね」と授業で教えてもらったのか、子どもたちから答えが返ってきます。「音には波があって、いろんな高さの波があります。じゃあこの音は聴こえるかな?」周波数の帯域を変える機械(サンプラー)を使いながら、「この波が高かったり低すぎたら聴こえない場合もあるんだよ。みんなまだ若いから聴こえる幅が広いけど、大人になれば聴こえなくなる音もあります」。実際に高低それぞれの周波数を聴いてもらいながら、音の話に子どもたちの関心を誘います。

そしていよいよ楽器を使っての演奏が始まります。

家からもって来なかった子は、音楽室にあるいろんな楽器の中から選んで使います。ティンパニーや木琴や鉄琴、ドラム、シンバル、アコーディオンなどなど、思い思いの楽器を手に持つ子どもたち。早くも気分は高揚している様子。「じゃあさっそく鳴らして・・・」と大友さんが言うやいなや、みんなばらばらに無秩序に音を出し始めます。そんな子どもたちを制して、「まだ僕がはいって言うまで音をだしちゃあだめだよ。音を出す前の静かな時間、この何も音が出ていないということをまずは感じることが大事なんだよ」と話す大友さん。

大友さんの指揮にしたがって大きな音や小さな音、楽器にあわせて長めの音や短い音などを出していきます。

音を出すだけではなく、「聴く」ということも体験します。大きな銅鑼や、音が長〜くなる楽器を使って、「いまから鳴らす音が鳴り終わったと思ったら手を挙げて」。大友さんが鳴らした音にみんな耳を傾けます。手をあげるタイミングはばらばら。人によって感じ方が違うんですね。何人かに前に出てきてもらい、一回鳴らしてそれをじっと聴く、音が鳴りやんだと思ったらもう一回その楽器を鳴らしてまたそれが鳴りやむまで聴く、ということを繰り返します。みんな真剣に音を逃すまいと楽器に耳を近づけて聴き入ります。

「では、隣の人が音を出したら、自分も音を出してみて」。そうやって音を聴きながら演奏するということを何度か繰り返し体験していくうちに、最初はばらばらだったみんなの音が、徐々にひとつのまとまりのある音に変わっていきます。最後には子どもたちによるりっぱな楽団が誕生!

既存の曲を楽譜通りに演奏するということはしないで、即興で演奏するということ、しかもみんながばらばらに音を出し合うのではなく、いかに共有して音楽をつくりだしていくか、ということが体で感じられるワークショップだったのではないでしょうか?

さてさて、元気いっぱいわんぱくなこどもたち相手に負けじと普段以上に声を張り上げていた大友さん。ワークショップが終わった時には、子どもたちに生気をすべて吸い取られたかのようにぐったり?な様子。大友さん、お疲れ様でした。

8/23(土)14:00〜17:00に山口情報芸術センターの館内あちこちを使ってライブがおこなわれます。今回のワークショップに参加した子どもたちも何人か出演します。他にもプロアマ含め多数出演者あり、そんななかで子供たちがどんな即興演奏を聞かせてくれるのか、ぜひ聞きに来てください。

Filed under: From YCAM — otomoycam 1:50 AM  Comments (0)

ENSEMBLES展第2期オープン間近! 焦ってなんかないぞ〜

ウソ。焦ってます。

今回最大規模の作品「orchestras」を前に、もう強烈に追われまくって作品つくってます。追われているのは単に時間だけじゃない。精神的に追い詰められながら、オノレの創作能力のすべてをかけて、作ってる感じ。そして、なにより、早くから山口入りし作業をしている高嶺格の仕事のあまりの素晴らしさに、追いまくられているのであります。

高嶺さん、ほんとすごい。現代美術界若手ナンバーワンなどという世間のレッテルなんて元々信用なんてしてないけど、それでも彼がそう言われるの、今はものすごくよくわかる。単に作品が素晴らしいだけじゃなくて、そのつくる姿勢に、オレはもうとことん感服しております。素晴らしい。

だかしかし、コラボレーターとしては感服ばっかしていても仕方ない。彼の仕事に正面から拮抗するような音を作ってこそのアンサンブルズなのだ。8月リスボンから帰国してからは、もう全力で、この巨大展示にいどんでおります。

いったいどんな展示かってのは、まあとにかく見てください・・・としか言えないのだけど、今書けることを書かせてもらうなら、上空には数百点の廃材、70チャンネルの学校放送用やら昔のステレオの家具調スピーカー、メガフォンから最高級のPAスピーカーまで、ありとあらゆるスピーカーたちもつるされていて、この70個のスピーカーからは、7台のコンピュータを使ってプロアマ200人以上の人から録音した1200ファイル以上の演奏や歌、声の音源が様々な仕組みで、あるときはランダムに、あるときはコンポーズされて流れる上に、簡単なロボットのような機械で吊るされている廃材もぶっ叩いて音を出す・・・・・・・ううううううう〜〜〜〜ん、自分でも何書いてるんだか、これじゃわlらね〜よって声が聞こえてきそうだ。

さらに高嶺流迷路というか、アングラ秘宝館かも・・・みたいな地下の部屋では、ギターが何台も大爆音でフィードバックしたり、ミラーボールがまわったり、おかしな楽器の部屋があったり、これまたプロアマ問わない100人以上の人たちの唄や演奏がワイヤレスのヘッドフォンから流れる仕組みで・・・・・うううううう〜〜〜〜〜ん、やっぱ何いってんだかさっぱりわからない。でも、このわからなさ加減のパワーと、莫大な未整理の情報量がこの作品の肝・・・ってかオレや高嶺さんそのものなのだ。

とにかくですね、そんなもんを高嶺さんや、もうおなじみのYCAMの強力スタッフ、サウンドテクニシャン伊藤隆之さん、西村悦子さん、舞台美術の宇野三津夫さん 岩田拓朗さん、大脇理智さん、照明の西田昌一さん 高原文江さん 金築浩史さん、三原聡一郎さん、そして高嶺組の重鎮小西小多郎さん、大友組の濱 哲史やらwithout recordsチーム・・・・ほかにもまだまだいるのですが、そういった人たちが束になって、昼夜ぶっとしで働いて滅茶苦茶やってくれているのです。

もう日記かいてるどころのさわぎじゃないんですが、一部で好評、大部分で不評の連載マンガのほうも、全然書けないし、でも、今回は打ち上げも自重して、でもってひたすら音に向かっております。ほんと、ほんと。今回ばかりは打ち上げはオープンあと。

いやね、日記はどうしたのだ・・・YCAMの仕事ちゃんとやってるのかってメールがちらほら来てるのだ。でもって今度の2期オープンのこと、もう少し説明してくれって要望も来てるのだ。でもって、書かねばならぬのも充分承知してるんですが、今は世界タイトルマッチを目前にした矢吹ジョーみたいなかんじなんす。ウソ・・・いや、ちょっとほんとかな、それともウルフ金串くらいかな・・・いや、うどん食うの我慢してるマンモス西くらいかも。

8月23日2期オープン、まじですごいことになりますよ。詳細は2日以内には書きます。

ちなみに1期オープンした「without records」は夏休みの子供攻撃にあって、惨憺たる状況だったのを、先日なつかしのボランティアスタッフが再集合してくれて、修復、それどころかヴァージョンアップしました。青山さん、ずたぼろになったプレイヤーたち、元気に動いてますよ。みんな青山さんのこと懐かしがってますよ〜。

ということで天才テクニシャン伊藤さんがものすごい目をして作業をしてる脇で、このブログ書いてます。そろそろ作業にもどります。まだまだ深いところにいくのだ。

写真は上空に吊るされる前の廃材を前に、自信満々狂気の笑顔の高嶺さん、つるされた廃材の背後で頭をひねる伊藤さん、そして、復活したwithout records ver2

Filed under: 大友ブログ — otomoycam 8:06 PM  Comments (0)

any vol.65

YCAMで配布している情報誌「any」が新装刊。
大友さんのインタビューがたっぷり載っています。

any vol.65 2008年夏号(8・9月号)
■特集
複数の人・音・記憶が出会い、響きあう
「大友良英 / ENSEMBLES」展
大友良英インタビュー

YCAMにお越しの際は、館内に置いてありますので、ぜひご覧ください。

また、下記よりダウンロードしてご覧いただけます。
any vol.65

Filed under: From YCAM — otomoycam 8:24 PM  Comments (0)