君の頭の中には体内時計があって、君の意志とは関係なく体の中に夜と昼を作りだしています。それは視交叉上核という名前の細胞群で、この細胞は昼になると自然に働きだし、夜になると静かになります。体内時計からの命令が身体にホルモンを行き渡らせ、あるいは心地よい眠りを誘います。視交叉上核の細胞は身体の外に出してもなお、ずっと振動を続ける不思議な細胞です。そこではPeriod、Clock、Cycle(Bmal1)、Cryという4つの遺伝子が働いて、タンパク質が作られ、それがいったんできすぎると、しばらく作らなくしてしまうような仕組みで振動を作っています。静かにしていると頭の中にある遺伝子が奏でる時計の音が聞こえてきませんか?
(井上愼一)
[サイエンティフィック・アドバイザー]
井上愼一/山口大学時間学研究所
[クリエイティブクルー]
ミュゼグラム
■アドバイザーからのブックガイド
「体の中の夜と昼」千葉喜彦著(中公新書)
「脳の中の時計」川村 浩著(NHKブックス)
「さわやかな朝のために」深田信二著(松林館)
「時間を知る生物」富岡憲治著(裳華房ポピュラーサイエンス)
「大事故は夜明けに起きる」マーチン・ムーアーイード著(講談社)
「体内時計の不思議」星川英輝(ネスコ・文藝春秋)
「生体リズムと健康」川崎晃一著(学会センター関西)